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【熱処理】浸炭焼入れとは 特徴や効果、浸炭に適した材料などを解説

浸炭焼入れとは、炭素含有量の少ない材料(低炭素鋼など)の表層に炭素を拡散浸透させる処理です。
元となる材質の炭素含有量が低いので、内部の靭性は高いまま表層に硬化層を形成でき、耐摩耗性と靭性を両立することができます。

※画像はイメージです

浸炭焼入れの方法

二酸化炭素や水素などを主とするガスを利用したガス浸炭が一般的です。
炭化水素系ガスを主成分とする高温のガス中で、材料の表層に炭素を拡散浸透させてから急冷します。その後は通常の焼入れ・焼戻しを行います。

また、ガス浸炭は「ガス濃度の制御」によって浸炭深さを調整することができるメリットがあります。

このほかにも、固体浸炭、液体浸炭、真空イオン浸炭などの種類がありますが、公害性・生産性などの問題により現在ではあまり使われておりません。

長所
  • 靭性と耐摩耗性の両立が可能
     材料の靭性を保ったまま硬化層を形成することができます。
    一方で、炭素含有量の高い材質には適しておりません。
短所
  • 浸炭したくない箇所には防炭処理が必要
     防炭するには、「薬品を塗布する、防炭用にネジやナットを装着する」などの対応が必要です。オネジ部などは防炭処理をしないと脆くなってしまい、折れや破損に繋がります。
  • 寸法変化が顕著
     通常の焼入れよりも寸法変化が大きく、処理後の研磨仕上げなども難しいため、高精度部品にはあまり適しておりません。

浸炭焼入れに適した主な材料
  • SCM415、SCM420、S15Cなど炭素含有量が少ない合金鋼や炭素鋼

逆に、SCM440やS45Cなど炭素含有量が0.3%以上含む材料には浸炭は適しておりません。

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