サイトアイコン モノキソ│機械加工&ものづくりの基礎知識

【表面処理】ユニクロめっき・クロメート処理とは 三価ユニクロ・六価クロメートなどの種類の違いや特徴などを解説

ユニクロめっき

クロメート処理とは


クロメート処理とは「六価クロムを使用した処理液による化成処理」で、クロメート被膜を生成させるものです。防錆や外観向上を目的としており「亜鉛めっきの後処理」として一般的に用いられる処理です。

ユニクロめっきとは、クロメート処理の中でも「光沢仕上げ」の事を指します。本来の名前は「光沢クロメート」ですが、United Chromium社の商標を語源とする「ユニクロ」や「ユニクロめっき」という言葉が一般的にも使われるようになってきました。

しかし、これら六価クロムは有害物質に指定されており、RoHS指令による規制や環境問題への懸念により徐々に使用されなくなってきております。

そこで六価クロムに代わって「無害な三価クロムを使用しためっき」が現在では主流となってきております。

それが三価クロム化成処理(三価クロメート処理)です。
※三価クロメートは造語です(後述)

しかし、現在も六価クロムを使用しためっきを行う業者も存在する上、加工部品の分野においてはユニクロめっきなどの処理は今でも非常に多くの図面に指示されています。

さらに、六価クロムや三価クロムによる処理は仕上げにより様々な種類があり、表記もバラバラで業者や製図者によって認識の違いが発生しやすい処理です。

そこで、今回はそれらの処理の違いを改めて確認していきたいと思います。

実際の色調は業者様によって異なります

六価クロムと三価クロムの違い

RoHSとは

RoHSはEU(欧州連合)が発令する「電気・電子機器における特別有害物質の使用制限」についての指令のことです。カドミウムや水銀、六価クロムなど有害物質の使用制限や含有量を定めております。EU内の規定なので日本国内においては必ず順守しなければいけないという義務はありませんが、輸出入に影響があるだけでなく、環境問題、健康被害の問題を考えていく上では看過できない指令です。

六価クロムの有害性

六価クロムは強い毒性を持っており、肺がんの原因になったり、皮膚炎などを引き起こし人体に影響を及ぼすことがあると言われています。廃液は無害化する必要がありますが、めっき後は金属クロム(0価)となるため、我々の身近にあるような“クロメート処理された製品”については有害性は無いと言えます。しかし、めっき作業者にとっては有害物質であり、環境問題も懸念されます。

六価クロメートの種類

六価クロメートには処理液の種類により耐食性や色調に違いがでてきます。ユニクロめっきも六価クロメートの一種です。(下記の他にも緑がかったクロメートも存在します。)

三価クロム処理(三価クロメート)

こちらは人体に無害な三価クロムを使用した化成処理で「三価クロメート」と呼ばれることもあります。三価クロメートには”白”と”黒”しかありませんが、実際にはこの”白”の処理液の色調をコントロールすることによって「薄黄色~青白い色」まで、色調をある程度コントロールすることが可能です。

三価クロメート、三価ユニクロは造語?

「クロメート」という言葉は「六価クロムを使用した化成処理」のことを指すので「三価クロメート」という言葉は矛盾しております。同じように「三価ユニクロ」も矛盾しておりますが、便宜上これらの呼称を使用している人も多くいます。

RoHS指令に抵触しないためには「ユニクロめっき」の指示はやめましょう

先述したように、ユニクロめっきはもともと六価クロムを使用した処理です。図面にユニクロめっきという指示を記載した場合、処理業者によって下記の2パターンに分かれます。

  1. 従来通り、六価クロムを使用した光沢クロメート仕上げ
  2. 六価クロムの取り扱いをしていないので、三価クロメート(白)への代替

現在では六価クロムを使用しない処理業者様が多いので、”2″のパターンになる事が多いです。
ただし、まだ六価クロムを使用している業者様も少なからずいますので、六価を使用してはいけない部品については「ユニクロめっき」という指示は使わずに「三価クロメート(白)」に変更すべきです。

また、六価クロムの規制事情は国によって異なりますので、海外に部品を依頼する時は特に注意が必要です。心配な場合は「RoHS指令対象」ということを図面にしっかりと明記しておきましょう。(それでも不十分な場合があるので、しっかりと業者様に確認を取るのがベターです)

クロメートとクロムめっきはどう違う?

クロムフリーとは?クロムを使わない?

クロムフリーとは、「六価クロムを使用しないクロメート(化成処理)やクロムめっき」を指す場合と「クロムを使用しない防錆処理」を指す場合があります。

つまり、三価クロムを使用した化成処理も「クロムフリー」と指す場合もあるため、一概に”全くクロムを使用しない処理”とは言えません。なので、クロムを全く使用しないものに限定する場合は「ノンクロム」や「ゼロクロム」と呼ばれることが多いです。

ゼロクロム処理には、タンニン酸によって被膜を形成することで亜鉛めっきの防錆をするものなどがあります。

亜鉛めっきに防錆処理をするのはなぜ?めっき自体が防錆処理では?

亜鉛めっき自体も防錆処理なので、単体でも使用されます(溶融亜鉛めっきなど)。ですが、亜鉛めっきは大気中の酸素と反応して白さび(亜鉛酸化物)を形成するため、耐食性や外観性を向上させるためにクロメートなどの化成処理によって防錆することが多いのです。

まとめ

クロメート処理、三価クロム化成処理はいろいろな種類があり、図面上の指示や処理工場による認識も混在しています。そのため図示には注意が必要で「処理工場との仕上がり認識に齟齬がないか」必要に応じて確認したほうがいいと思われます。

※あくまでこちらの記事も「一部の表面処理業者様へのヒアリングや実体験」に基づいたものですので、当方の認識と実際の処理業者様との認識に違いがある可能性もございますので、ご了承ください。

モバイルバージョンを終了