Fusion360で3Dモデルを出力する際の”リファインメント”という項目はご存じでしょうか。
簡単に言うと、出力するSTLデータの品質を左右する項目です。
リファインメントの設定には、高・中・低・カスタムという4つのプリセットがあります。
高にすれば品質が高くデータは重くなり、低にすれば品質は低くデータは軽くなります。
基本的には”高”の設定にしておくことをオススメします。
ただ、データが大きくなりすぎる場合は適度に品質を下げましょう。
また、どのような形状にも影響があるかというとそういうわけではありません。
直線的な形状で構成された角型モデルにはほとんど影響がありませんが、球体のように曲面の比率が多いほど影響も大きくなります。
それではリファインメントのプリセットを変更すると、どの項目が変化するのかを見ていきます。
(先に言っておきますと、このような六角柱はリファインメントの影響をほぼ受けません)
これらを比較すると、変化しているのは”サーフェスの偏差”と”法線の偏差”の2項目だという事がわかります。
サーフェスの偏差とは、元の形状とメッシュ化した形状の面の許容誤差を設定する項目です。
法線の偏差とは、元の形状の面の法線方向に対する許容角度を設定します。
法線(法線ベクトル)とは?
法線はポリゴンの表面方向を示すベクトルの事です。法線の偏差項目では、この法線ベクトルが理想的な状態からどれだけのずれを許容するかを設定することができます。
とにかく「偏差を数値を小さくすること=誤差を少なくして精度を高める」という程度の認識で問題ないかと思われます。
実際の比較
それでは実際に六角柱のモデルと球体のモデルで比較してみましょう。
左がリファインメント低、右がリファインメント高です。
見てわかるように影響がありません。
ファイルサイズも変化なしです。
どちらも1.05KB
では球体はどうでしょう。
左がリファインメント低、右がリファインメント高です。
明らかに違いますね。
ファイルサイズも大きく異なります。
リファインメント低は170KB
リファインメント高は1.36 MB
なぜこうなるのでしょうか?
要するに、STLデータにおける球体や曲面の表現は、無数の小さな三角形によって近似され、その精度は許容角度や面の位置の誤差の調整によって調整されるという仕組みです。
STLデータ(メッシュデータ)は小さな三角形が無数に集まってできたデータです。
このデータ形式は、球体や曲面などの形状を再現する際にも使用されますが、その際にもこれらの形状は三角形に分割されます。言い換えれば、球体や曲面は、360°にわたって放射線状に無数の三角形で近似されることになります。
各三角形が理想的な法線ベクトルを持っている場合、それぞれの三角形の角度は非常に精密に計算され、表現されることになります。同様に、面の理想的な位置も非常に精密に定義されます。
しかし実際のデータでは、これらの理想的な条件を完全に満たすことは難しいため、許容角度や面の位置の誤差を調整する必要があります。なので、このリファインメントの調整の影響を大きく受けるのです。
なので、曲面が多いモデルをメッシュ化する場合はデータサイズと精度のバランスに気を付ける必要があると言えます。