HPM1は、日立金属工具鋼(株)の汎用金型用鋼です。
HRCが40程度あるプリハードン鋼で切削性に優れております。
日立のハイピーエムシリーズなので「ハイピーエム」とも呼ばれます。
プリハードン鋼とは? → プリハードン鋼について
HPM1 特徴
HPM1は日立金属工具鋼(株)が開発した「Ni-Al-Cu系のプリハードン鋼」で、HRC40程度の硬度を得ております。また、S(硫黄)を0.1%程度含有しており被削性に優れております。
HPM1の長所
- 被切削性が良い
- 焼き入れ処理が不要
初めからHRC40程度の硬度が入っているため、S45Cなどのように焼き入れする必要がなく、納期短縮や精度安定にも繋がります。 - 溶接性が良い
- 放電加工性が良い
ワイヤーカット後に硬化層が形成されないため、研磨仕上げも良好です。 - サイズが大きくても内外の硬度が均一
HPM1の短所
快削成分(S:硫黄)を0.1%程度含有しているため「精密なシボ加工や鏡面加工」には向きません。ちなみに同じHPMシリーズで鏡面仕上げに向いているのは「HPM38」等です。
NAK55との違いについて
NAK55は大同特殊鋼株式会社のブランド鋼です。成分的には似ている部分が多いですが、HPM1の方が銅の添加量が多いです。銅の添加は耐食性や耐候性の向上に寄与します。
加工方法について
- 切削加工◎
快削成分を含有しているため、切削が良好です。 - 放電加工◎
放電加工後の表面硬化層が形成されにくく、仕上げ加工が楽です。 - 溶接◎
肉盛り溶接が容易にできます。
処理について
- 無電解ニッケルメッキ◎
- ハードクロムメッキ◎
メッキの被膜によって表面の硬度を上げることができます。 - 窒化◎
窒化によってHRC60程度まで硬度を上げることができます。 - 焼入れ×
時効硬化処理系の合金のため、焼入れで硬度を上げることはできません。
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