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【材料を学ぶ Part2-1】アルミ合金の種類 アルミ合金の特徴や選定方法を解説

今回は非鉄金属の中でも非常に多く使用されているアルミ合金について詳細を解説していきます。アルミ合金にも様々な種類があるので、どのような基準で選定していけばよいのか、複数の視点からみていきましょう。

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アルミ合金の全体像

アルミ合金とは

アルミ合金はアルミニウムを主成分とした合金です。アルミは非常に軽く鉄の約1/3の重さです。また、錆にも強く加工もしやすいため、非常に広く使われている材料です。アルミニウム単体では柔らかいので、銅やマグネシム、亜鉛などを添加することで強度を高めています。

アルミ合金の種類

アルミ合金はAA(アメリカアルミニウム協会)の番号を基本としており、板材や棒材などの押出し材として使われる「展伸用アルミニウム合金」と鋳物に使われる「鋳物用アルミニウム合金」にわけられます。

展伸用アルミニウムの種類

展伸用アルミニウム合金は”A〇〇〇〇”というように、添加する元素によって1000~7000番台に分類されます。また、熱処理によって硬化するもの(熱処理型)とそうでないもの(非熱処理型)があります。

板材や棒材となった材料は機械加工などによって部品や製品となり、我々の身近ないたる所に存在しています。

1000番台 (純アルミニウム系) 非熱処理型

アルミの純度が99%以上の工業用アルミ合金で、主にフィンや反射板などに用いられています。A1050やA1100などの種類があり、下2桁はアルミニウムの純度を表します。(例:A1050は純度99.50%以上)

2000番台 (Al+Cu系) 熱処理型

銅、マグネシウムを添加することにより、強度を向上させたアルミ合金です。中でもA2017はジュラルミンA2024は超ジュラルミンと呼ばれ、航空系の部品にも使われる有名なアルミ合金です。

3000番台 (Al+Mn系) 非熱処理型

純アルミにマンガンを加えることにより、耐食性を低下させることなく強度を向上させたアルミ合金です。A3003が代表的な品番です。缶材など深絞り材につかわれますが、切削加工にはあまり使用されません。

4000系番台 (Al+Si系) 非熱処理型

シリコンを添加することにより耐摩耗性耐熱性を向上させたアルミ合金です。代表的な品番はA4032で、ピストンなどに使用されています。切削加工にはあまり使用されません。

5000番台 (Al+Mg系) 非熱処理型

マグネシウムを添加させ強度耐食性を向上させたアルミ合金です。加工性、溶接性もよく切削加工には非常に多く用いられます。代表的な品番はA5052(主に板材)、A5056(主に丸棒)などです。

6000番台 (Al+Mg+Si系) 熱処理型

マグネシウムとシリコンを添加させ、強度耐食性を向上させたアルミ合金です。代表的な品番はA6061(主に平板・丸棒)とA6063(押出し材)で、アングル材などの形状の材料も流通しています。

7000番台 (Al+Zn+Mg系) 熱処理型

マグネシウム、亜鉛、銅を添加しており、アルミ合金の中で最も強度が高い材料です。A7075が代表的な品番で、超々ジュラルミンと呼ばれています。航空系の部品にも使われています。

質別(調質)記号について T6やO,Hなど

展伸用アルミ合金にはT6やOなどの記号がついているものがあります。これは冷間加工や熱処理によって強度や成形性などを向上させたもので、調質の種類をあらわしています。

代表的な質別記号

鋳造用アルミニウム合金

金型や砂型などの鋳物については、この鋳物用アルミニウム合金が用いられます。日本において、鍛造用のアルミニウムの約90%が自動車や二輪などに使われています。鋳造時に重力のみで成形する「砂型・金型鋳物用」と、鋳造時に圧力をかける「ダイカスト用」に分類されます。

アルミニウム合金鋳物

アルミニウム合金鋳物は砂型・金型鋳物用合金でAC(AlminumCasting)という記号がつきます。鋳造性、耐摩耗性や強度などによって9種類に分類されます。

アルミニウム合金ダイカスト

ダイカスト製法も金型を使用しますが、加圧することで高速で注入することを可能にしており、大量生産に向いております。ダイカスト用合金にはFeを添加しており、金型への焼き付きを防止しています。ADC10などの型番があります。(ADCはAluminum alloy Die Castingを意味します)

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