さて、今回は非金属材料について説明します。
「非鉄金属」と「非金属」少しややこしいですが、「非鉄金属」は、鉄(Fe)以外の金属を主としたアルミや銅合金などのことで、「非金属」はプラスチックやゴムといった金属以外の材料のことを指します。
非金属材料の種類
非金属材料には、炭素を含まない無機材料(セラミックス)と炭素を含む有機材料に分類されます。
身近な無機材料にはガラスや陶磁器などがあり、有機材料はプラスチック、ゴム、木材など非常に多くの種類があります。
1. 無機材料(セラミックス)
セラミックスは一般的に、金属以外の無機材料(炭素を含まない材料)のことを指します。
食器などでおなじみの陶磁器、炉などに使われるブロックなどの耐火物、建築に使われるセメント、ガラスなどもこれらの無機材料に含まれます。
また、産業や機械部品においては後述のファインセラミックスが用いられています。
1) ファインセラミックス
ファインセラミックスは「天然原料・人口原料・化学化合物」などを原料に、精密な製造プロセスを経て生まれた新しいセラミックスです。
通常のセラミックスよりも機械的特性、物理的特性などに優れ、高い付加価値を持つ材料で、ニューセラミックスとも呼ばれます。
- アルミナ(Al2O3=酸化アルミニウム)
アルミナは代表的なファインセラミックスで、産業においても多く使用されております。耐薬品性、電気絶縁性、硬度に優れております。ただし機械的強度、靭性は他のセラミックスに劣ります。
鋳鉄仕上げ用の刃(バイト)などに用いられます。 - ジルコニア(ZrO2)
靭性が高く、刃物などにも使用されます。 - 窒化ケイ素(Si3N4)
破壊靭性、耐衝撃性に優れていて、金型の代替材料にも使われることがあります。 - 炭化ケイ素(SiC)
高温化(1000℃程度)でも機械強度の低下が小さい材料で、耐摩耗性にも優れています。
2. 有機材料
1) プラスチック
プラスチックとは人工的に製造された合成樹脂で、主に石油から作られています。
大きく分類すると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられます。
プラスチックを選択するメリットは様々ありますが、最大の利点は「軽量化」です。
軽いからこそ、身近に存在することができ、量産しやすいとも言えます。
材料にもよりますが、鉄の1/5以下の質量のものが多数存在します。
①熱可塑性樹脂
生活用品から機械部品まで様々な場所に使われるABS樹脂、フィルムなどに使われるポリカーボネートなどがあります。プラスチック全体のうち約90%がこの熱可塑性樹脂に分類されます。
また、熱可塑性樹脂の中でも耐熱性など機械的特性に優れたプラスチックはエンジニアリングプラスチックに分類されます。そしてさらに性能を高めたものはスーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれます。
②熱硬化性樹脂
加熱すると硬化して元に戻らない樹脂です。接着剤や塗料にも使われるエポキシ樹脂やウレタン樹脂などがあります。熱硬化性樹脂は基本的に再利用することができません。
また、部品材料として代表的なものにはフェノール樹脂(ベークライト)があります。
軽量かつ安価で耐熱性もあるので、パレットなどに使われます。
2) ゴム
ゴムは力を加えると変形し、力を除去すると元の形に戻る弾性が大きな特徴で、機械的強度にも優れています。ゴムには「ゴムの木」から作られる天然ゴムと工業的に作られる合成ゴムがあります
① 天然ゴム(NR)
ゴムの木から採取される樹液から作られるゴムで加工性、機械的強度に優れています。
主にタイヤやホースなどに使用されています。
② 合成ゴム
- ニトリルゴム(NBR)
耐油性、耐摩耗性などに優れており、パッキンなどに使われております。 - ウレタンゴム
ポリウレタンをベースにした合成ゴムです。機械的強度、耐摩耗性に優れており、機械部品の分野では多く使用されています。 - クロロプレンゴム(CR)
接着しやすく耐熱性、耐油性などに優れたバランスの良いゴムです。オイル漏れを防止するOリングなどにも使われております。
3. 複合材料
- FRP (Fiber Reinforced Plastics) 繊維強化プラスチック
ガラス繊維や炭素繊維などの弾性率の高い材料と、プラスチックを複合した材料です。軽量で強度が高く、浴槽や自転車・ボートなどにも使用されています。 - FRM (Fiber Reinforced Metal) 繊維強化金属
鉄・アルミニウム・チタンなどの金属をマトリックス(母材)とし、炭素やアルミナなどの強化繊維と複合した材料です。耐摩耗性や耐熱性に優れています。