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【品質管理を学ぶ】QC7つ道具 パレート図とは?

パレート図とは、データを層ごとに分けた上で「頻度や損失などの大きさ順に並べた棒グラフ図」と「累積百分率の折れ線グラフ」を組み合わせた図です。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが考案したため、パレート図という名が付きました。

パレート図の一例

この図を用いれば、品質不良の原因などといった問題を可視化する事ができ、ひと目で重要な項目がわかるという特徴があります。

上の図を例にとると、棒グラフが不具合の種類を示しており、折れ線グラフが累積百分率を示しています。
「キズ、外観不良」「精度不良」の2項目だけで全体の不良品の約70%を占めている事がわかります。
逆に「面取り漏れ」「タップ不良」の項目はほとんど影響を与えていないことが分かります。

つまり、上位の2項目に対し重点的に対策を行うことで、最大で70%程度の不具合削減を行う事ができると予想されます。

パレート図を使用する目的

理解しておきたい”パレートの法則”

パレート図を使用する上で理解しておきたいのが、パレートの法則です。
この法則は「80:20」の法則とも呼ばれ「経済において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」というものです。

例えば「仕事の成果の8割は、費やした時間の2割によって生み出されている」
「会社の売上げの8割は、全商品のうち2割が生み出している」
といったものです。

つまり、品質管理においても「製品の不具合の大部分は、一部の原因によって生み出されている」という事が起こりうるのです。

パレート図の作り方

1.原因別、金額別など対策したい分野を考慮してデータを分類する項目を決める。
 (必要があれば複数の項目に対し、それぞれパレート図を作製します。)
 例:新製品の不良品が増えてきているので、不良の種類ごとにデータを集める事にした。
2.データを収集する
 ”1か月”など、期間を設定しデータを正確に収集します。
 例:1か月単位で不良品のデータを集める事にした。
3.表にする
 項目別に分類して表にまとめます。雑多な項目はまとめて「その他」とします。

4.パレート図にする
 不具合項目を棒グラフ、累積百分率を折れ線グラフにしてパレート図にします。

 ※棒グラフの柱の間隔はあけないこと。
  折れ線グラフの各頂点は、棒グラフの右側垂直上に配置する事。
  その他の項目は必ず一番右に配置すること。

 Excelでのパレート図の作り方については、下記のサイト様が詳しく解説しております。
 リンク:Excelでパレート図を作る(Excel2016以降対応)

5.必要項目を適宜追加する
 日付や期間、合計数(n)などの必要な情報を適宜追加する。

6.分析する
 上記の例で言うと、上位2項目で全体の不具合の67%、上位3項目まで含めると77%に達する。
まずは「キズ、外観不良」「精度不良」について重点的に対策を取り、その他の影響の少ない項目については優先度を下げる。

7.対策を実践し、グラフの推移を比較する
 上記の例では、外観不良と精度不良が全体の不具合を占める大きな原因だということが判明したので以下の対策を行うことにした。
 ・開梱後、検査後だけでなく、出荷前の外観チェックを追加
 ・精密部品に対しては、電子顕微鏡による全数検査を実施
 ・寸法が厳しい部品については、抜き取り検査ではなく全数実測値による検査を実施

対策を実施した結果、不具合の件数は前月の152件から91件まで減少した。
実施初月なので、オペレーションが安定すればさらなる不具合の減少が見込まれるだろう。
引き続き対策を実施すると共に、来月度からは硬度不足に対する対策も実施していく。

総括

パレート図を有効に活用することができれば、問題対策の優先順位を素早く決めていくことができます。変化が速い現代において、優先順位を決めて効率的に業務を行っていくことは絶対的に必要な事柄だと言えます。
仕事の見える化を進め、効率化と利益の上昇に役立てましょう。

参考

“JIS Q 9000 品質マネジメントシステムー基本及び用語”.日本産業標準調査会.2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html
”Excelでパレート図を作る(Excel2016以降対応)”.システム担当の父親のブログ.2022-02.https://sys-daddy.com/excel-pareto-chart/


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