S55Cは鉄鋼材料のひとつで「機械構造用炭素鋼鋼材」と呼ばれる汎用的な鋼材です。
一般機械部品の材料として広く使用されています。
S50Cとの違いは炭素含有量のみです。
S55Cの特徴
炭素を含む鉄鋼=炭素鋼
S55Cとは炭素を0.55%前後含む炭素鋼であり、材料記号の55という数値は炭素の含有量を示しております。価格も比較的安価で汎用性の高い材料です。
S55CとS50Cの違い
S50Cとの違いは炭素含有量で、それ以外は同じです。
S50Cと比べてS55Cの方が炭素量が多いため、焼入れ時の硬度はS55Cの方が若干硬くなります。
ただしS55Cは硬度が高い分、靭性に劣ります。
S55Cの長所・メリット
- 五大元素の含有量が決まっている
SS400と違い、成分が規定されているため、材料屋の違いやロットの違いによる品質のバラつきを少なくすることができます。→金属の五大元素とは? - 焼入れによって硬度を高めることができる
炭素を0.3%以上含有する鉄は、焼入れによって硬度を上昇させることができます。
処理方法にもよりますが、全体焼入れの場合S55CであればHRC55前後の硬度になります。
S55Cの短所・デメリット
- 安易に焼入れすると思わぬ歪みが発生することも
形状にもよりますが、焼き入れをすることによって材料が歪むことがあります。
特に薄くて長い材料は歪が顕著に表れるため、焼入れに適しません。
薄い材料の硬度を上げたい場合はハードクロムメッキなどで代用することをオススメします。
S55CNの”N”とは?
N材は焼きならしを施した材料の事です。
焼きならしを行うことで金属組織を均一化し、機械的性質や切削性の改善を行います。
(N)マルエヌという表記もされますが、どちらも同じ意味です。
例:S55CN、S55C(N)
※マル記号がないため、()カッコで括っています
加工方法
- 切削加工
被切削性も悪くないので、切削加工はしやすい材料といえます。
ただし、焼入れ後は硬度が上がるため研磨などでの仕上げが一般的です。 - 溶接
S55Cは炭素量が多いため、溶接時に焼きが入り表面に割れを起こす場合もあります。溶接には不向きです。
表面処理、焼入れについて
- めっき
S55Cはあまり錆に強くないため、めっきなどの処理をして腐食を防止したり、耐摩耗性を上げて使用する場合が多いです。
安価かつ精度が高いが防錆効果は低めの「黒染」、精度が高く膜厚をコントロールしやすい「無電解ニッケルめっき」、焼入れせずに高い硬度を得られる「ハードクロムめっき」などが挙げられます。 - 焼入れ
S55Cは焼入れをするとHRC55程度になるため、機械的強度があがります。焼入れをすることによって炭素鋼の利点を活かす事ができます。
参照
“JIS G 4051:2016 機械構造用炭素鋼鋼材”.日本産業標準調査会.2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html
Raytech(レイテック)では機械加工部品の受託を行っています
Raytechでは、マシニング加工・旋盤・研削・溶接といった加工から熱処理・めっきなどの後処理まで一括して引き受けます。
図面データを送ってご発注いただければ、材料手配から検査梱包までお任せください。
S45CやS50Cなどの炭素鋼の加工対応も行っております。
まずは無料見積もりから、お気軽にお問い合わせください。
材料の基礎について学びたいかたはこちらへ→【材料を学ぶ】1.材料の全体像 材料の種類や特性を解説