SCM440は、クロム鋼に少量のモリブデンを加えた合金鋼で「クロモリ」とも呼ばれます。正式にはクロムモリブデン鋼です。
炭素量は0.4%程度含有しており、引張強度が高い合金鋼です。
「SCM4」は旧JIS記号で、現在はSCM440に変更しております。
N/mm2 | |
引張強さ | 980以上 |
長所・メリット
- 靭性に優れている
熱処理後も強靭性を保つ靭性に優れた材料です。 - 焼入れ性が良い
- 被切削性に優れている
SCM420、SCM435との違いは?
- 炭素含有量が違う
両者の違いは炭素の含有量です。SCM440は(C)0.38~0.43%、SCM435は(C)0.33~0.38%mSCM420は炭素0.2%程度です。SCM420に熱処理をする場合は、浸炭焼入れを施します。 - SCM435との使い分け
異なるのは炭素量のみなので、主に部品に必要とされる硬度・強度によって使い分けされます。歯車や軸といった部品において、SCM435よりも強度が必要な場合にSCM440が選定されることがあります。
SCM440Hとは?SCM440(H)マルエイチとの違いは?
- SCM440H
SCM440Hは「焼入れ性を保証した材料」です。末尾の”H”がつくものはJISによって焼入れ性が規定されており、”Hバンド鋼”という分類に属します。市場に流通しているSCM440のほぼ全てはこの焼入れ性が保証されたH材です。
なのでSCM440を手配しても実際に届くほぼ全ては「SCM440H」です。 - SCM440(H)
SCM440(H)はカッコで表記していますが実際には”H”を”〇”で囲った記号=マルエイチ材です。これも似ていますが、マルエイチ材は調質材といって既に低めの硬度で焼入れ焼戻しが行われています。SCM440(H)はおよそHRC33前後です。
SCM440HQとは?
SCM440HQは「焼入れ性の保証」+「調質を行った材料」という意味です。
先述の通り流通しているほぼ全てがH材なので、SCM440HQとSCM440(H)の意味は実質的にはかわりません。
SCM440の主な用途
ボルトやシャフトなど、靭性と強度が必要な部品に使われています。
一般機械用部品にも用いられています。
処理方法について
- 熱処理
SCM440の一番の特徴は強靭性です。ずぶ焼入れや高周波焼入れを施すことで、材質の特徴を活かすことができます。熱処理を行うことが非常に重要な材質です。焼入れ焼戻しでHRC43~51程度の硬度になります。
Raytech(レイテック)ではSCM440加工部品も対応致します。
Raytechでは、マシニング加工・旋盤・研削・溶接といった加工から熱処理・めっきなどの後処理まで一括して引き受けます。
図面データを送ってご発注いただければ、材料手配から検査梱包までお任せください。
まずは無料見積もりから、お気軽にお問い合わせください。
参照
”JIS G 4053:2016機械構造用合金鋼鋼材 ”.日本産業標準調査会.2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html