PCBWayの板金(シートメタル)加工サービスでは、試作から量産まで幅広い金属・プラスチック材料に対応しています。今回は、各材料の特徴や物性データ、適用例を金属とプラスチックに分けて詳しくご紹介します!
ぜひ、材料選定時の参考にしてください。
アルミニウム材料|軽量・耐食・加工性に優れた万能金属
アルミニウムは、鉄や銅と並ぶ汎用金属材料のひとつで、比重2.7と非常に軽く、かつ耐食性、導電性、熱伝導性に優れています。また、非磁性で毒性がなくリサイクル性も高いため、航空宇宙、自動車、建築、食品、医療など幅広い分野で使用されています。
A5052
A5052(JIS規格)は、主にMg(マグネシウム)とCr(クロム)を添加したアルミニウム合金で、優れた耐食性と中強度、成形性をバランスよく備えています。
5052 合金は海水や塩水噴霧に対して優れた耐腐食性を備えているため、液化天然ガスタンカーのタンクなど、故障に敏感な大型海洋構造物に最適な候補となります。
- タイプ:Al-Mg系合金(非熱処理型)
- 色:シルバー白
- 特徴:
- 海水や塩害環境への耐食性が特に高い
- 軽量で可塑性が高く、板金成形に適する
- 溶接性も比較的良好
注意点
熱処理による強化は不可能。冷間加工硬化時の塑性および溶接性が低い。
用途
- 船舶部材(甲板・外板・タンク)
- 航空機構造材(燃料タンク、フレーム)
- 建築パネル、看板、街灯柱
- 一般板金加工全般
- 熱交換器、燃料配管、床パネル、リベット、ワイヤー
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 228 MPa |
降伏強度 | 193 MPa |
せん断強度 | 138 MPa |
弾性率 | 70.3 GPa |
せん断弾性率 | 25.9 GPa |
熱伝導率 | 138 W/m·K |
線膨張係数 | 2.38×10⁻⁵ K⁻¹ |
比熱 | 880 J/kg·K |
密度 | 2.68 g/cm³ |
融点 | 607°C |
A6061
A6061は、Mg-Si系アルミニウム合金で、溶接性と機械的強度を兼ね備え、押出材や鍛造材として汎用性の高い材料です。6061は熱間鍛造に適した合金です。ビレットは誘導炉で加熱され、密閉型鍛造法で製造されます。この合金は開放型鍛造に適しています。
- タイプ:Al-Mg-Si系合金(熱処理型)
- 色:シルバー白
- 特徴:
- 熱処理(T6処理など)により高強度化可能
- 溶接性、耐食性も良好
- 押出成形性が高く、構造用材に適する
用途
6061 は、シリコン含有量が低いため鋳造時の流動性に影響し、従来の鋳造には使用できない合金です。
注意点
- 船舶(ヨット、小型ボート)
- 自動車部品
- 建築構造材
- 食品・飲料缶
- 自転車フレーム
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 310 MPa |
降伏強度 | 276 MPa |
せん断強度 | 207 MPa |
疲労強度 | 96.5 MPa |
弾性率 | 68.9 GPa |
せん断弾性率 | 26 GPa |
線膨張係数 | 23.6 μm/m·K |
密度 | 2.73 g/cm³ |
融点 | 580–650°C |
ステンレス材料|耐食性と強度を兼ね備えた汎用金属
ステンレス鋼は、鉄を主成分としクロムを10.5%以上含む合金で、錆びにくさ(耐食性)と機械的強度を併せ持つのが特徴です。
クロム含有により酸化皮膜(不動態被膜)が形成され、大気中や多くの化学環境で腐食を防ぎます。
SUS304
SUS304は、最も汎用性が高く、広く使用されているステンレス鋼のグレードの一つです。クロム-ニッケルオーステナイト合金で、最低18%のクロムと8%のニッケルを含み、最大0.08%の炭素を含みます。
- タイプ:オーステナイト系ステンレス
- 色:シルバー
- 特徴:
- 成形性、溶接性が非常に高い
- 非磁性(冷間加工でやや磁化することも)
用途
- 食品加工設備
- 厨房機器、シンク
- 建築パネル、手すり
- 水処理ふるい、フィルター
- ネジ、ボルトなどのファスナー
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 515 MPa |
降伏強度 | 205 MPa |
伸び | 40–60% |
弾性率 | 193 GPa |
熱伝導率 | 31.7 W/m·K |
密度 | 7.93 g/cm³ |
使用温度上限 | 925°C |
SUS316 / SUS316L
SUS316は、モリブデン含有オーステナイト系ステンレス鋼の標準グレードです。オーステナイト系で非磁性、かつ熱処理硬化はできません。モリブデンを合金元素として含むため、タイプ316は鋼や鉄、さらにはタイプ304ステンレス鋼よりも優れた耐食性を備えています。
化学薬品、塩分、酸性環境における孔食および隙間腐食に対する耐性が特に優れています。これらの特性により、海洋環境に対する耐性も向上しています。また、優れた溶接性および成形性も備えています。
- タイプ:モリブデン含有オーステナイト系
- 色:シルバー
- 特徴:
- 塩水・薬品・酸性環境で優れた耐食性
- 成形性、溶接性が良好
- 316Lは低炭素で溶接焼きなまし割れを防止
用途
- 熱交換器
- 医療用ツール
- ボート艤装品
- ファスナー、ブラケット
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 620 MPa |
降伏強度 | 310 MPa |
伸び | 30–50% |
弾性率 | 205 GPa |
熱伝導率 | 17 W/m·K |
密度 | 8.00 g/cm³ |
使用温度上限 | 925°C |
SUS201
SUS201は、一定の耐酸性・耐アルカリ性、高密度、無気泡、無ピンホールなどの特性を備え、様々なケースやストラップの底カバーの製造に最適な高品質素材です。主に装飾用チューブ、工業用チューブ、一部の浅張製品に使用されます。耐熱性、低温強度、機械的性質に優れ、打ち抜き加工や曲げ加工などの熱間加工性も良好です。
- タイプ:オーステナイト系(低Ni、高Mn)
- 色:シルバー
- 特徴:
- 成形性、溶接性、耐熱性に優れる
- コストが304より低い
注意点
塩水などの特定の要素による孔食や隙間腐食の影響を受けやすいため、屋外構造物での使用には適さない傾向があります。
用途
- 食品加工設備
- 厨房機器
- 建築パネル、手すり
- 熱交換器
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 685 MPa |
降伏強度 | 292 MPa |
伸び | 56% |
弾性率 | 197 GPa |
密度 | 7.86 g/cm³ |
SUS301
概要
SUS301 は17%のクロムと 7 %のニッケルであるオーステナイト系ステンレス鋼で、冷間加工時に優れた強度と延性を発揮します。また、優れた耐腐食性も備えています。
301は溶接、成形、引抜加工に適しています。この高強度鋼種は、様々な条件や焼き戻しで入手可能です。
- タイプ:オーステナイト系(Cr17%-Ni7%)
- 色:シルバー
- 特徴:
- 冷間加工で非常に高強度化
- 成形性・溶接性良好
- 加工硬化で磁性を帯びる
注意点
SUS301 は多くの環境で耐腐食性がありますが、その耐腐食性は 304/304L ステンレス鋼よりも劣ります。
用途
- 航空機構造材
- トレーラーボディ
- 建築(屋根樋、ドアフレーム)
- 自動車トリム、ホイールカバー
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 1460 MPa |
降伏強度 | 1080 MPa |
伸び | 7.4–46% |
弾性率 | 212 GPa |
軟鋼材料|加工性とコストパフォーマンスに優れる低炭素鋼
軟鋼(マイルドスチール)は、炭素含有量が0.25%未満の低炭素鋼を指します。炭素量が少ないため、延性(展性・加工性)や溶接性に優れ、硬化性や強度は高炭素鋼に劣るものの、部品加工から構造材まで幅広く使用されています。
1018
1018鋼は、低炭素鋼の中でも最も汎用的な材料であり、機械的性質、切削性、溶接性に優れるため、機械加工部品や構造用部材として広く使われています。
軟鋼 1018 は溶接性に優れ、均一で硬い表皮を生成するため、浸炭部品に最適な鋼と考えられています。 1018 軟鋼/低炭素鋼は、靭性、強度、延性の優れたバランスを備えています。 1018 熱間圧延鋼は優れた機械的特性、改善された機械加工特性を備え、ブリネル硬度が高くなっています。
- タイプ:低炭素鋼(含炭量:約0.18%)
- 色:シルバーグレー
- 特徴:
- 靭性と延性に優れ、折れにくい
- 浸炭処理により表面硬化が可能
- 熱処理なしでも一定の強度と加工性を両立
注意点
耐食性が低く、屋外や湿潤環境では防錆処理(メッキ、塗装)が必須
用途
- ギア、ピン、ダウエル
- 機械部品全般
- 工具ホルダー、治具、スペーサー
- 車両部品
- 非重要構造材
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 440 MPa |
降伏強度 | 400 MPa |
伸び | 15% |
弾性率 | 205 GPa |
せん断弾性率 | 80 GPa |
密度 | 7.87 g/cm³ |
硬度 | 76 HRB |
熱膨張係数 | 11.5–12×10⁻⁶ K⁻¹ |
軟鋼は、コストを抑えつつ汎用性の高い材料が必要な場合に最適です。防錆対策と表面処理を組み合わせることで、より広範な用途に活用できます。
銅系材料|優れた導電性と加工性を持つ多用途金属
銅は、古くから電気・熱伝導性に優れた金属として利用されており、延性・展性にも優れるため、電気配線、熱交換器、装飾品など幅広い分野で使用されています。また、合金化により真鍮や青銅など用途特化型材料も生み出されています。
C110(タフピッチ銅)
概要
C110は純銅(99.9%以上)の中でも最も一般的な銅材料で、電気・熱伝導性に優れています。タフピッチ銅と呼ばれ、電気機器や建築装飾用途に広く使われます。
- タイプ:タフピッチ銅(酸素含有)
- 色:銅色
- 特徴:
- 導電率・熱伝導率が非常に高い
- 展性、延性が高く冷間加工性良好
- 溶接やろう付けは水素脆化に注意
注意点
機械加工性は20%と低めで、工具選定と切削条件管理が重要
用途
- 建築外装材、雨樋、屋根材
- 自動車ラジエータ
- 電気機器部品
- バキュームコンデンサ
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 230 MPa |
降伏強度 | 140 MPa |
伸び | 15–50% |
弾性率 | 120 GPa |
熱伝導率 | 380–388 W/m·K |
電気抵抗率 | 1.71–1.76 μΩ·cm |
密度 | 8.53 g/cm³ |
C101(高純度高導電銅)
概要
C101は無酸素銅(OFC)に分類され、電気・熱伝導性はC110以上。水素脆化の心配がなく、半導体や電子部品に最適です。
- タイプ:高純度無酸素銅
- 色:銅色
- 特徴:
- 導電率100%IACS(International Annealed Copper Standard)
- 溶接性、ろう付け性に優れる
- 加工硬化は比較的ゆるやか
用途
- 電子部品
- 精密配線
- 一般工学用途
- 家電、自動車部品
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 380 MPa |
降伏強度 | 340 MPa |
伸び | 6–25% |
弾性率 | 135 GPa |
熱伝導率 | 398 W/m·K |
電気抵抗率 | 1.74 μΩ·cm |
密度 | 8.89 g/cm³ |
C260(真鍮)
概要
C260真鍮は真鍮の中で最も延性に優れており、他の銅亜鉛合金よりも多く使用されています。銅合金260はほとんどの環境において優れた耐食性から良好な耐食性を備えていますが、酢酸、湿潤アンモニアまたはアンモニア化合物、塩酸、硝酸などの特定の物質には適していません。C260 真鍮は真鍮の中で最も延性が高く、他の銅亜鉛合金よりも多く使用されています。
- タイプ:銅-亜鉛合金(黄銅)
- 色:真鍮色(黄金色)
- 特徴:
- 成形、切削、溶接性に優れる
- コストと見た目のバランスが良い
- 耐食性は一般環境で良好
用途
- ファスナー、クリップ
- 装飾金具、ヒンジ
- ラジエータ部品
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
密度 | 8.53 g/cm³ |
熱伝導率 | 121 W/m·K |
電気抵抗率 | 6.16 μΩ·cm |
弾性率 | 112 GPa |
銅および銅合金は、電気特性だけでなく美観や耐食性も重視するアプリケーションに適しています。
プラスチック材料|軽量で成形自由度が高い工業用素材
プラスチックは、軽量で耐食性が高く、金属に比べて加工・成形自由度が大きい材料群です。熱可塑性樹脂を用いることで、真空成形や切削加工、射出成形など多様な工法が可能となり、特に装飾パーツやカバー、光学部品などに適しています。
プラスチックの一般的特性
- 密度:0.9~1.6 g/cm³(金属の1/6~1/3程度)
- 機械強度:樹脂種類により幅広い
- 電気特性:絶縁性が高い
- 耐薬品性:樹脂種類により強酸・強アルカリ対応可
- 加工性:切削、レーザー、熱曲げ、接着、溶接など
- 耐候性:紫外線劣化は種類による
PMMA(アクリル)
概要
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、アクリルまたはプレキシガラスとも呼ばれる高分子ポリマーの一種です。高い透明性、低価格、そして機械加工の容易さといった利点があり、ガラス代替材料として広く使用されています。また、生産目的を達成するために、レーザー切断プロセスと密接に結びついています。
優れた透明性、抜群の耐老化性、光学性、絶縁性、加工性、耐候性に優れ、無色透明、光透過率90%~92%、靭性が強く、シリコンガラスの10倍以上の大きさです。
- タイプ:熱可塑性樹脂
- 色:透明
- 特徴:
- 光透過率90–92%と非常にクリア
- UV耐性に優れ、屋外使用でも変色しにくい
- 加工(切削、レーザー、接着)や接合が容易
注意点
質感は脆くて割れやすく、表面硬度は低く、傷がつきやすく光沢を失いますが、微細な傷や擦り傷は研磨ペーストで消すことができます。
用途
- 照明カバー
- ディスプレイ、看板
- 食品・医療関連部品
- 手すり、保護板
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 83 MPa |
降伏強度 | 80 MPa |
伸び | 3–6.4% |
弾性率 | 3.3 GPa |
硬度 | 105 HRM |
使用温度上限 | 80°C |
熱膨張係数 | 90×10⁻⁶ K⁻¹ |
密度 | 1.19 g/cm³ |
カーボンファイバープレート
概要
炭素繊維板は、炭素繊維プリプレグを原料とした板材で、鋼やアルミニウムの代替として使用できます。成形工程では、炭素繊維プリプレグを一定の角度で並べ、金型内で固めます。高い引張強度、耐腐食性、耐震性、耐衝撃性などの優れた特性を備え、炭素繊維の強度と弾性率を最大限に発揮します。
軽量で高強度です。鋼板と比較すると、炭素繊維板の質量は鋼板のわずか1/4ですが、強度は鋼板の7~9倍です。耐腐食性と低熱膨張率を備えた炭素繊維複合材料は、非金属材料であるため、酸素によって酸化されません。また、酸、アルカリ、塩などの化学物質による腐食にも耐えることができます。
- タイプ:炭素繊維強化プラスチック(CFRP)
- 色:黒
- 特徴:
- 圧倒的な軽量高剛性
- 耐食性、耐薬品性に優れる
- 熱膨張が小さく寸法安定性が高い
注意点
従来の金属材料と比較して、炭素繊維プラスチックパネルの製造コストは、原材料費や加工技術費を含めて高額です。また、修理性も低く、金属に比べて修理が困難です。損傷や破損が発生すると、通常は修理ではなく、部品全体を交換する必要があります。
用途
- ドローン構造部品
- 産業用ブラケット
- 航空機・トラックフレーム
- 自動車パーツ
- 電子機器筐体
- 家具デザイン
性能データ
項目 | 数値 |
---|---|
引張強度 | 3000 MPa |
弾性率 | 200 GPa |
密度 | 1.6 g/cm³ |
Tg(乾燥) | 121°C |
伸び | 1% |
熱伝導率 | 0.025 cal/cm·s·°C |
電気抵抗率 | 1.7×10⁻³ Ω·cm |
プラスチックは軽量化や加工効率化だけでなく、意匠性や光学特性面でも金属に代わる材料選択肢となります。
総括
PCBWayでは、アルミニウム、ステンレス、軟鋼、銅、プラスチック、カーボンファイバーなど、多彩な材料に対応しており、それぞれに適した用途があります。
アルミニウムは軽量かつ耐食性に優れ、5052は海水環境に、6061は高強度構造材に適しています。ステンレスは304(汎用)、316L(高耐食)、201(コスト重視)、301(高強度)と使い分けが明確です。
軟鋼1018は加工性・溶接性が高くコストも低いため、治具や機械部品に最適ですが、防錆が必要です。銅系は高い導電性と熱伝導性で電気部品に、真鍮(C260)は装飾やファスナー向きです。
プラスチックではPMMAが光学用途やカバーに、カーボンファイバーは軽量高剛性でドローンや航空機分野に最適です。
材料選定は、使用環境、強度、加工性、コスト、外観を総合的に考慮することが重要です。PCBWayの豊富な材料と短納期対応を活用し、開発スピードと品質向上に役立ててください。
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