フェライト系ステンレス SUS430
ステンレス鋼は錆びにくい合金としてよく知られており、SUS430は台所のシンクや厨房用品など身近な所にも使われています。
SUS430は「フェライト系ステンレス鋼」に分類され、「18クロムステンレス」とも呼ばれます。
その名の通りクロムが18％ほど添加されており、安価で汎用性の高いステンレス鋼です。
SUS430とSUS304の比較
- 磁性の有無
SUS430は磁性があり、SUS304は磁性がありません。磁気を嫌う場面ではSUS304が主に使用されます。ただし、SUS304の場合でも「板金曲げ」など加工硬化による磁性が発生する場合があるので注意が必要です。 - 価格の優位性
価格はSUS430の方が安価です。その理由は、SUS304と違い「ニッケルが含まれていない」からです。 - 耐食性
先述のようにSUS430にはニッケルが含まれていないため、SUS304より耐食性は劣ります。
SUS430の長所
- 熱伝導率が高い
- 材料費が安い
- 磁性があるので材料を固定しやすい
マグネットチャックなどを用いて、研磨や切削を行うことが可能です(形状によります)
SUS430の短所
- 被削性が悪い
- 磁性がある
磁気を嫌うような環境には適しておりません。場合によっては、脱磁気などで磁気を除去する必要がでてきます。
SUS430の用途
SUS430は安価かつ比較的錆びにくいステンレス鋼です。日用品や水回りの部品など「そこまで性能を必要としないが、耐食性はある程度欲しい」といった場面に最適です。
しかし、精密機械部品などの分野においては、SUS304の方がかなり多く採用されております。
求められる品質や用途によって適切に使い分けましょう。