サイトアイコン モノキソ│機械加工&ものづくりの基礎知識

MJFや金属3D造形も可能!JLCPCBとは?3D造形依頼やPCB基板製造をお手頃価格で利用可能

今回は3D造形をお手頃な価格で依頼できるサービスを紹介致します。
「JLCPCB」という会社のサービスです!
もともとはプリント基板の製造メーカーですが3D造形のサービスも行っており、STLデータをアップロードするだけで瞬時に見積をしてくれます。
JLCPCBのサイト:https://jlcpcb.com/

スポンサーリンク

JLCPCBの概要

JLCPCBは2006年に設立された中国のPCB製造会社で、15年以上PCBの製造ノウハウを蓄積している世界的なPCBメーカーです。(PCB=電子部品が取り付けられたプリント基板(Printed Circuit Board))
従業員も3000人以上おり、非常に高い生産能力を有している会社です。

そんなJLCPCBですが、3D造形サービスにも力を入れ始めております。

どんな3D造形が依頼できる?

JLCPCBでは一般的な熱積層造形や光造形だけでなく、MJFやSLMといった特殊な造形にも対応しております。
光造形SLA
 レジンを使用した光造形3Dプリントです。レジンの種類は6種類あり、高精度のものや耐久性の高いレジンなど取り揃えております。選択できる色は白や黒といった基本色のみ
MJF(マルチジェットフュージョン)
 ヒューレットパッカード社が開発した特殊な造形方式です。異方性が無い為、積層方向による強度の違いがほとんど無く、耐久性が高く優れた仕上がりの部品を作成することができます。普通では導入できないような価格(4000万円以上)の機械を使用した造形なので、JLCPCBで使用するメリットは非常に高いです。
SLM(レーザー焼結)
 こちらはレーザー焼結を使用した金属の3D造形です。材質はSUS316Lというステンレスで、こちらも一般では造形できない方式のため、JLCPCBに依頼するメリットは大きいです。体積が大きくなると一気に価格は高くなりますが、小さい部品などは低コストで造形する事が出来ます。
・FDM(熱積層造形)
 一般的な家庭用3DプリンターでもおなじみのFDM方式です。PLAは対応しておらずABSの白か黒のみとなります。
・SLS(レーザー焼結)
 こちらもレーザー焼結ですが材質はナイロン(黒)です。耐久力の高いタフな部品を作成する事ができます。

対応材質をまとめた記事はコチラです!
JLCPCB対応材料一覧表 ~材料の種類と特性を解説~

3D造形依頼の流れ

大まかな流れ
①登録→STLデータアップロード
➁価格が自動で計算される→注文依頼
③JLCPCBの担当がデータをチェック(6時間~24時間程度)→確認メールが届く
④問題なければ支払いする(ここで注文が確定)
⑤部品が発送される

①登録&STLデータのアップロード

まずはJLCPCBトップページから赤枠の”Sing in”をクリック→”New Customer? Start here”をクリックしてアカウントを作成しましょう。メールアドレス、パスワードなどを設定して登録します。

登録&ログインが完了したら、再びトップページに戻り、緑枠のResource→3D printingをクリック

次に、Get Instant Quoteをクリック

3Dprintingが選択されている事を確認し、Add 3D Filesに見積してみたいSTLデータをドロップしましょう

➁材質などを選択

次に造形方式や材質を選択します。すると、リアルタイムで下の方に見積価格が表示されます。
・3D Technology=造形方式
・Material=材質
・Color=色
・Sanding=仕上げ研磨

・Build Time=造形にかかる時間が表示されます
・Qty=数量
・Product Desc=部品の用途を選択します。例:DIY→ロボットパーツ
 (あてはまる物を適当に選択しましょう。入力必須です)
・Price=価格が表示されます

入力したら右の方にあるSave to cartをクリックします。

次に注文したい部品を選択し、Secure Checkoutをクリックします。
※まだこの時点では発注されません。

1.発送先の住所と請求書の住所を入力します。
Shipping Address=発送先住所
Billing information=請求書住所

2.Shipping Method=発送方法を選択します。
 DHL、FedEx、OCS、UPSのいずれも世界的な輸出入の貨物運送会社です。
DHL Expressであれば発送後2-4日で到着します。非常に早いですが送料は少々高くなります(今回のケースでは2,200円程度)。
OCSは6-8日後の到着と少々遅くなりますが、価格は安いです(今回のケースでは920円)

「特に急ぎではない」というのであればOCS、「高くなってもいいので早く部品が必要」という場合はDHLをオススメ致します。

③データのチェック依頼

発送方法を選択すると次は「3.Submit Order」という確認項目に移ります。
注文の前にデータを確認する作業が行われます。Continueを押すとデータが送信されますので、担当者から確認メールが来るのを待ちましょう。(大体6時間~24時間程度でメールが届きます)
※この時点ではまだ注文は確定されません

④支払い

「データを確認しました」という旨のメールが届いたら支払いに進みます。
この時点で、データに問題があった場合は注意事項など詳細を教えてくれます。データ修正が必要な場合もありますので適時確認しましょう。
「割れや反りの可能性がありますが大丈夫ですか?」などといった確認が来る場合もあります。

⑤部品の造形開始&発送

支払いが完了したら部品製造が進みます。発送完了の連絡を待ちましょう。
発送完了メールと共に追跡番号も発行されるので、OCSやDHLなどのホームページで配送状況を確認する事が出来ます。

実際どの程度時間がかかるのか

 参考までに、私がMJF部品(1種類)を依頼した時の実際の日数は以下の通りです。
DAY1 午前:STLアップロード→データチェック依頼
DAY1 夕方:データチェック完了→支払い
DAY1 夜:製造開始
DAY2 夜:製造完了
DAY3 夜:梱包完了、ピックアップ待ち
DAY4 朝:深圳のサービスセンター到着
DAY7 朝:深圳トランジット
DAY8 朝:日本到着
DAY10 昼:自宅に部品到着

データのアップロードから10日程度で自宅に部品が到着しました。非常に早いです!
金属造形の場合は製造時間が長いので+3日程度かかりました。
依頼内容やお住いの地域にもよりますが、OCSを利用した場合で大体2週間程度みておけばいいかと思います。DHL Expressであれば大体2-4日早く到着します。

モバイルバージョンを終了