今回はPrusa i3 MK3+用のエンクロージャを作成していきます!
(エンクロージャ・・・機械部品の囲い、筐体)
エンクロージャがあれば造形中に庫内の温度を高く保つことができ、ABSやTPUの造形を安定させる事が出来ます。
特にABSは造形温度が高いため、周囲と温度差があるほど反りや造形不良を引き起こしてしまいます。
こちらはIKEAのラックを使用して作成できるので、機能性の高いエンクロージャを安価に作成できます。
公式のエンクロージャは非常に高品質ですがお値段も結構高いです(2022/12月現在$349=約46,400円)
しかしIKEAのラックであれば、1万円以下で作成する事が可能です。
エンクロージャを使用するメリット
・反りやすい材料でも安定して造形する事が可能
庫内温度を高いまま一定に保つことができるためABS、PC、PPなどの反りやすい材料を安定して造形させることができる
・造形時の嫌な臭いが外に漏れない
ABSなどを造形する時、部屋に嫌な臭いが充満したことはありませんか?高温造形でプラスチックが溶ける時に発生する悪臭を庫内にとどめる事が可能です。
・造形時の音が軽減される
造形ノイズやモーター音などがエンクロージャに遮られるので、騒音が軽減されます。
・カスタマイズ可能
ラックになっており積み重ねる事ができるので、さらに一段高くしてPrusaを2台置いたり周辺機器置き場として使用する事も可能です。またLEDも取付可能なので造形中の様子が確認しやすいです。
部品リスト
【外装】
・2x IKEAラックテーブル 55cm x 55cm
1,300 x2 =2,600円
・4x ネオジム磁石
110円 x1個
(板の磁石がなかったため100均の丸ネオジムに変更。)
・3x アクリルパネル 440 x 440 mm 厚さ3mm
・2x アクリルパネル 220 x 440 mm 厚さ3mm
3140円 x1個
(アクリルパネルは高いのでPETプレートに変更。MISUMI様にて880x880x3のPETプレートを購入し、プラスチックカッターで切断しました)
※プラスチックカッターでの切断は大変な上ガタつきますので、少々値段は高くなりますがカット済み材料の購入をお勧めいたします。
【エレクトロニクス】
・1x 煙感知器
あった方がいいですが今回は取り付け無しにて。今後設置検討
・1x 温度計
とりあえず家にあるものを使用
・1x LEDテープ 24V 30cm
675円
(i3 MK3+の場合は12Vではなく24Vなのでご注意ください)
・1x 電気配線ケーブル
240円
(ホームセンターにて平行ケーブル購入。AC300V以下/7A)
・2x コネクタ WAGO221
633円
(10個入りを購入)
【ネジ】
・12x M6x20mm (鍋小ネジ)
合計110円
・4x M6x50mm (皿ネジ)
合計90円
(ネジはタッピングネジの方が良いかもしれません)
【造形部品】
【必要な道具】
・ドライバー
・接着剤
・ドリル
費用合計:約8,600円
作成手順
作成手順は当記事では解説致しませんので、下記リンクページを翻訳して参考にすることをオススメ致します。
・How to build a simple, cheap enclosure for your 3D printer
https://blog.prusa3d.com/cheap-simple-3d-printer-enclosure_7785/
Prusa公式サイトの記事です。
作成時の注意事項
・PSUが黒の場合とシルバーの場合でLEDのボルト(V)が変わるので注意しましょう。
私のものはPSUが黒のverだったため、24VのLEDテープを使用しました。
LEDは本体電源のON/OFFと同期しております。別途ON/OFFスイッチをつけるのもいいかもしれません。
・作成手順の説明が少々大雑把なので、ある程度は自己流で調整する必要があります。
①PSU設置パーツが微妙な寸法だったため、適当なパーツを追加しました。
➁2段目の台の足には電源ケーブルを通す穴がついておりますが、穴が狭くケーブルを挟んでしまう恐れがあったのでPETに穴を開けてケーブルを通しました。穴の断面はヤスリ掛けをし、ケーブルは100均のコードチューブで保護しております。ケーブルの断線は火災につながる危険性がありますので充分注意して取り扱いましょう。
エンクロージャの上部は広く使いたいので、ひとまずフィラメントホルダーを置くだけにしております。今後は別の3Dプリンタを設置するか、物撮りの撮影スポットにしようかと思っています。
使用感、総括
作った感想としては、非常に使い勝手が良くてコスパの高いエンクロージャだと思いました。
しっかりと断熱する事ができるだけでなく、動作音も軽減してくれています。
ABS造形時、室温17.6℃でしたが庫内は24.2℃になっていました(造形開始1時間後に計測)
さらにIKEAラックが中空の木材でできているため非常に軽く、棚の下と上部のスペースも広いため周辺部品やフィラメントを保管しておくのにも適しております。
もう一段上に積み重ねる事もできますし、LEDを増やすなどの拡張をしても良さそうですね。
皆さんも、自分なりにカスタマイズしながらIKEAエンクロージャを作ってみてはいかがでしょうか。
※エンクロージャの作成についてはあくまで自己責任でお願いいたします。
作成によって発生した損害など、当方では一切保証致しかねます。
参考
・How to build a simple, cheap enclosure for your 3D printer
https://blog.prusa3d.com/cheap-simple-3d-printer-enclosure_7785/
Prusa公式サイトの記事です。
・Original Prusa i3 MK3 ENCLOSURE -Ikea Lack table – Prusa Research
https://www.thingiverse.com/thing:2864118
Thingiverseのパーツデータです。
・これやってみました
https://cgod-kei.blogspot.com/2020/12/prusa-i3-mk3s-ikea-lack-d.html
実際にIKEAラックを作成した方のブログ記事です。オリジナルでカスタマイズもなさっています。