3Dプリントを始めるときに、最初に悩むポイントはフィラメント選びです。
中でも「PLAとABS、何が違うのか」「最初はどちらを使えばいいのか」で迷う人は多いはずです。
この2つはよく比較されますが、向いている用途や扱いやすさははっきり分かれています。
ここではPLAとABSの特徴を整理しつつ、初心者が選ぶならどちらが現実的かを解説します。
PLAとは?扱いやすさ重視の定番素材
PLA(ポリ乳酸)は、トウモロコシ由来の原料から作られる樹脂で、FDM方式の3Dプリントでは最も一般的な素材です。
PLAの特徴としてまず挙げられるのが、造形のしやすさです。
- 比較的低い温度でプリントできる
- 反りが出にくく失敗しにくい
- 造形中のにおいがほとんどない
- 表面がきれいに仕上がりやすい
家庭用3Dプリンタとの相性が良く、細かい調整をしなくても安定して出力できます。
一方で弱点もあります。
- 熱に弱く、60℃前後で変形しやすい
- 強い衝撃が加わると割れやすい
- 屋外や実用品には不向きな場合がある
PLAは「とりあえず形にする」「見た目を確認する」といった用途に向いた素材です。
ABSとは?実用性を重視する素材
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、工業製品でもよく使われている樹脂です。
身近な例では、レゴブロックや家電の外装などがあります。
ABSの強みは以下の点です。
- 耐熱性が高く、変形しにくい
- 衝撃に強く、割れにくい
- 研磨や接着などの後加工がしやすい
実用品や強度が必要な部品では、ABSが選ばれる理由があります。
ただし、3Dプリントでは少し扱いづらい素材です。
- 高温での造形が必要
- 反りやすく、造形が安定しにくい
- 造形中に独特のにおいが出る
- 密閉型プリンタや環境対策が必要な場合がある
特に反り対策は重要で、設定や環境が整っていないと失敗しやすくなります。
PLAとABSの違いを整理すると
| 項目 | PLA | ABS |
|---|---|---|
| 造形のしやすさ | 高い | 低い |
| 反り | 出にくい | 出やすい |
| 耐熱性 | 低い | 高い |
| 強度 | 普通 | 高い |
| におい | ほぼなし | あり |
| 初心者向き | ◎ | △ |
初心者が選ぶならどちらが現実的か
3Dプリントに慣れていない段階であれば、PLAを選ぶ方が安心です。
理由は単純で、
- プリントの成功率が高い
- プリンタや設置環境を選ばない
- 設定で悩む時間が少ない
からです。
ABSは魅力的な素材ですが、造形条件の調整や環境づくりが必要になります。
まずはPLAで基本的な流れを理解し、「耐熱性や強度が必要になったらABSを検討する」という順番で問題ありません。
まとめ
PLAとABSは、どちらが優れているかではなく用途と段階の違いです。
- 初心者・試作・見た目重視 → PLA
- 強度・耐熱・実用品 → ABS
最初から無理にABSを使う必要はありません。
PLAで造形に慣れ、必要に応じて素材を使い分けていく方が、結果的に失敗も少なくなります。
