TPUで造形した時のダマ対策 ノズルで引っ搔き回して造形が崩壊する時の対処メモ

TPUはダマが発生しやすい材料です。
その上ノズルにくっつきやすいので、ダマがどんどん雪だるま式に大きくなりノズルで引っ搔き回してしまい造形がぐちゃぐちゃになってしまうことがあります。

原因と対策

造形崩壊を対策する上で重要な設定から順番に紹介します。
ちなみにこれらは主にダイレクト式エクストルーダにおける対策となります。
糸引き対策と重複している項目もあります。

①ノズルオフセットを調整する
 ノズルとビルドプレートの隙間が適切かどうか確認しましょう。私の場合は、定着が悪いときはスライサーでZ軸のオフセットを-0.05程度調整することがあります。つまり、PLAやABSを造形する時よりも0.05mm程度ノズルをビルドプレートに近づけています。

②リトラクト量(フィラメント引き込み)を調節する
 リトラクトが不適切だと、材料が垂れて引っかき回してしまう可能性が高くなります。リトラクト量を0.5-2.0mm程度の間で設定してみましょう。私は通常2.0mm程度に設定しています。
③リトラクト速度を調節する
 リトラクトの速度を20-100mm/s程度に設定しましょう。早すぎても遅すぎてもノズル詰まりや糸引き発生につながるので40mm/s前後からスタートして様子を見ながら設定を変えていきましょう。
私は60mm/s以上で調整する事が多いです。

上記の対策で効果が無かった場合、下記の設定も試してみてください。

④ノズル温度を最小限にする
 TPUノズルの推奨温度は約210-230℃前後です。(メーカーや色にもよります)
温度が低い方が糸引きしにくいので、220℃を基準として5℃ずつ下げながら様子を見ていきましょう
。場合によっては、メーカー推奨よりも少し下の温度が安定する事もあります。
※メーカー推奨温度外での使用は補償外となる事がありますので、試す際は自己責任にてお願いします。
⑤印刷速度を下げる
 一般的にTPUの造形速度は15-60mm/s程度が推奨されています。造形速度が遅い方が糸引きが発生しにくいので、全ての造形速度設定を20mm/s程度まで下げて造形してみましょう。
※造形していない時のエクストルーダ移動速度は下げないようにしましょう。
⑥ファンの速度を上げる

 ダマを防ぐには適切な冷却が大切です。ファンの速度を上げたり、より強力なファンに交換して冷却の具合を調節してみましょう。
⑦フィラメントを乾いた状態に保つ

 TPUは吸水率の高いフィラメントです。吸湿してしまうと造形品質の劣化にもつながるので、使用しない場合は防湿ケースで保管しましょう。造形前にフィラメントドライヤーなどで乾燥させることができると尚良いです。