ねじの種類と特徴を解説!六角穴付きボルト・鍋小ねじ・イモねじ・アイボルトなどの用途を解説

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”ねじ=ネジ”は我々の日常生活に最も身近な機械要素と言っても過言ではありません。
ねじは物を締結するだけでなく、工作機械に使われる台形ねじなど”位置決め”として使用されてり、ジャッキボルトのように”力の伝達”としても使われています。

そんなねじの種類と特徴について解説していきます。

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ねじのあれこれ

主要なねじの種類と形状

名称:六角穴付きボルト、キャップボルト
特徴:機械部品などの締結として一番メジャーなボルトですので必ず覚えておきましょう。
主な用途:機械部品の締結

名称:なべ小ねじ(Pan head Screws)
特徴:日常生活でも見かける事の多い代表的なねじです。十字の切れ込みがあるので、どの家庭にもあるプラスドライバーで簡単に締め付ける事ができます。
主な用途:部品の締結

名称:皿ねじ(Countersunk head Screws,Flat head Screws)
特徴:上部が平らになっており、頭を埋めるのが容易です。蝶番などによく採用されています。
主な用途:頭部を出っ張らせたくない箇所の締結
皿ねじの”長さ”は他の種類のねじと違い、頭部の長さも含みますので注意が必要です。

名称:六角ボルト
特徴:頭が六角の形状をしたボルトです。締結力が高く、通常は反対側からナットで締め付けて使用します。
主な用途:構造物など比較的大きな物の締結

名称:ボタンボルト(六角穴付きボタンボルト)
特徴:通常の六角穴付きボルトは頭部が円柱になっておりますが、こちらは丸みを帯びています。
頭部を低く、目立たなくする事が出来ます。
主な用途:六角レンチで締結したいが、頭部は目立たせたくない箇所

名称:すり割り付き平ねじ(すりわりボルト)
特徴:先端にすり割り(線状の溝)が付いているので、マイナスドライバーで締める事ができます。
主な用途:マイナスドライバーで締結したい箇所

名称:イモネジ
特徴:その名の通りイモムシのような形状をしたボルトで、主に相手部品を固定する際に使用されます。先端形状にはいくつか種類があり、「くぼみ先」「とがり先」「平先」などがあります。基本的には固定したい部品に合わせて形状を選定します。
主な用途:部品の固定、位置決め

名称:アイボルト(Screw eye)
特徴:頭部にリングが付いたボルトで、金型などの重い物を吊るす際などに採用されます。
アイボルトで吊る際は基本的には横吊りは禁止です。取付や使用には充分注意しましょう。
主な用途:重量物を吊る

ネジの材質、表面処理について

・ステンレス
 錆に強いステンレスのねじは広い場面で使用されています。ただし、鉄+表面処理のねじと比べると少々価格が高いです。主な材質はSUS304。
・鉄

 ねじには安価な鉄が採用される事も多いです。しかし鉄は防錆力が低いので、普通は表面処理を施します。主な材質はSCM435などで、表面処理は黒染め(四三酸化鉄被膜)、亜鉛メッキ、無電解ニッケルめっき、三価クロメート、塗装などがあります。
・アルミ

 アルミのねじは軽量かつ耐食性がありますが、強度や耐久性は少々劣ります。またアルミと鉄では熱膨張係数が2倍近く違うため、ねじの緩みなどを考慮した場合、アルミ製品にはアルミのねじを採用するのがベターだと言えます。
ねじとして使用される主な材質はA5052,A5056です。
・チタン

 チタンは耐薬品性、耐海水性に優れておりステンレスの60%程度の軽さです。研磨や化学処理も施しやすいので、クリーンルームでも採用しやすいです。
・樹脂
  軽量で強度の高いエンプラやスーパーエンプラなどがねじに採用されることもあります。耐薬品性が非常に高いPEEK、透明性の高いポリカーボネートなどの種類があります。
・セラミック
  半導体製造業界などでは”アルミナ99.5%”のセラミックなどが採用されることもあります。1500℃の耐熱、耐薬品性、電気絶縁性に優れるといった特徴を持っています。

異種金属による電食に注意!
電食とは、異なる種類の金属同士が接触している時に水などの電解質に侵されると、電位の低い金属が腐食してしまう現象です。
【電食が進みやすい避けるべき組み合わせの一例】
・ステンレス母材+亜鉛メッキのねじ
・アルミ母材+鉄製ねじ

ねじの頭部形状ついて

・標準(キャップ)
 六角穴が付いている円筒形状の頭です。
・超低頭

 頭がかなり低いねじです。頭を埋めることなく、非常に省スペースでねじを配置する事が出来ます。
・小径

 通常の六角穴付きよりも頭の径が小さくコンパクトなねじです。
・なべ

 その名の通り、鍋をひっくり返したような形状をしています。
・皿

 上面が平らになっている逆円錐形のねじです。頭を沈めやすいです。
・トラス

 緩やかな丸い形状をしており、なべ頭よりも高さが低く、径が大きいです。
・ボタン

 丸みを帯びている頭部です。
・平

 頭部が低く平らな円筒形状になっているねじです。
・バインド

 横から見ると台形になっているねじです。

ネジの取付穴形状ついて

・六角穴
 六角レンチで締める事ができます。
・プラス

 プラスドライバーで締める事ができます。
・マイナス

 マイナスドライバーで締める事ができます。
・プラスマイナス

 プラス、マイナスどちらのドライバーでも締める事ができます。

ねじの強度区分について

ねじには強度区分が設定されています。
鋼とステンレスの強度区分を例に説明いたします。

・鋼製ねじ
 例:強度区分10.9
 10=引張強さ1000(N/mm2)
 9=降伏点90%
 10の部分は引張強さを示し、9の部分は降伏点を示します。
 この場合は900N/mm2を超えると永久伸びが発生してしまいますので注意しましょう。
 鋼製ねじには「12.9 ,10.9 ,8.8 ,4.8 」の区分があります。
 12.9の区分が一番強いボルトです。
・ステンレス製ねじ
 例:強度区分A2-70
 A2=鋼種区分
 70=引張強さ700(N/mm2)
 A2はステンレスの種類(SUS304など)を示し、70の部分は引張強さを示します。

ねじの精度について

ねじの指示に6hや6gなどの表記を見かけたことはありますでしょうか。
これはねじの等級を表します(はめあい公差ではありません)
ねじ等級は1級~3級まであり、1級が一番精度が厳しくなります。
一般的な機械の締め付けであれば、2級が採用されます。
(そもそも図面には指示しない事がほとんどです)
・メートルおねじ
 1級=4h 
 2級=6h(M1.4以下) 6g(M1.6以上)
 3級=8g 
・メートルめねじ

 1級=4H(M1.4以下) 5H(M1.6以上) 
 2級=5H(M1.4以下) 6H(M1.6以上)
 3級=7H

ねじ山の種類、細目・並目・ユニファイについて

・メートル並目
 最も一般的なねじです。外形に対するピッチは1種類のみなので、図面に記載する際はピッチを省略します。例:(正)M12 (誤)M12×1.75
・メートル細目

 並目よりもピッチが細かいねじです。厚みがない場所やガタツキを減らしたい場合などに採用されます。径に対してピッチが複数ある場合があり、図示する際はピッチの記入が必要です。
 例:M12×1.5 M12×1.25 M12×1.0
・ユニファイ並目UNC

 ユニファイねじはインチ規格のねじです。UNCという記号で表されます。
・ユニファイ細目UNF
 ピッチが細かいユニファイねじです。UNFという記号で表されます。

右ねじと左ねじ、全ねじについて

・右ねじ
 ねじを時計回りに回すと進んでいくねじで、一般的なねじはほぼ全てがこの右ねじです。
どっちに回せば締まるか混乱した場合は平仮名の”の”を思い出してください。のの字に回せば締まります。
・左ねじ

 反時計回りに回すと進んでいくねじです。扇風機の羽など、右ねじだとモーターの回転の力で緩んでしまうような場合に左ねじが採用されることがあります。図示する際には”LH”と記載します。
・全ねじ

 全ねじはねじの全長全てにおねじが切ってあるものです。

台形ねじ、ボールねじ、角ねじとは? 

・台形ねじ
 ねじ山が30°の台形になっており、工作機械の送りねじなどに使われています。
・ボールねじ

 おねじとめねじの間にボールが入っているねじです。摩擦力が低く、バックラッシも小さいので工作機械の位置決めねじ等に採用されています。
・角ねじ

 ねじ山が90°になっており、大きな伝達力を持つので万力などに採用されます。台形ねじよりも加工が難しいです。

ネジ用の接着剤 

ねじというものはどれだけ締めてもいつかは必ず緩みます。
ねじに緩みがあると機械の性能や安全性にも問題が生じてしまいます。
こういった緩みのリスクを極限まで下げるのがねじ用接着剤です。

ロックタイトなどをはじめとする、”ネジロック”を使用する事でねじの隙間を硬化させガタツキや緩みを防ぐ事が出来ます。
ただし、一度使用すると取り外しが困難になるので注意が必要です。
ねじ接着剤にも強度の種類があるので、場面に合わせて使い分けましょう。

参考

“錆の原因「異種金属接触腐食」の原因と対策方法を解説”.鍋屋バイテック会社.https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/nedzicom-topics-13-galvanic-corrosion/?SelectedLanguage=ja-JP/2023/02