機械部品には、様々な材料が採用されています。
金属材料においては、「SS400やA5052」などの英数字の記号で表されることが多いです。
これらの材料はJIS規格(現:日本産業規格)によって定められています。
しかし、図面に指定された材料の中にはJIS規格以外の材料も紛れ込んでいます。
「NAK55やDC53」などのブランド鋼がそれに値します。
これらはメーカーが独自に開発や改良を行って生まれたもので、JISには規格されておりません。
しかし、図面には知れっと書かれているので、初めて見る名前の材質だとJISなのかブランドなのかという判断が付きにくいです。
それぞれの特徴を一覧にしました。
1.JIS規格の金属材料について
JIS規格のものは、日本の産業製品における標準となる材料です。そのため、メジャーなものであれば当然取り扱っている鋼材屋さんが多いです。
しかし、規格はあるものの、もはや誰も使っていない「実質上の廃盤」のような材料規格も多数あるので注意が必要です。
基本的に、材料を選定する際にはJIS規格の中で用途にあったもの、かつメジャーな材料から選んでいきます。
2.ブランド鋼について
次にブランド鋼ですが、大きく分けて2パターンの種類があります。
- JIS規格に準ずる材料を改良したもの (A5052改良系のアルハイスなど)
- 日本には無い規格の改良系(P21改良系のNAK55など)
※P21はANSI(米国国家規格協会)が定める材料です
なぜわざわざブランド鋼を使うのかというと、「靭性や被削性など特性を向上させている」「精度、硬度の品質が保証されている」といった理由などがあげられます。
場合によっては、単に「会社や工場の好み」という理由もあるかもしれませんが。
特に、金型のような「長期的に使用する一点もの」であれば、多少材料費が高かったとしても耐久性が高ければすぐにペイできますよね。
JISとブランドを混同してしまった時に起こる懸念
- どこの加工工場でも手に入るようなものだと思っていたが、仕入れルートがないブランド鋼だったため、お願いしたい工場で加工ができなかった。
- すぐに見積が出ると思っていたが、マイナーなブランド鋼だったので材料の見積に非常に時間がかかってしまった
- JIS規格の材料で代用したものの、精度がでず要件を満たせない。
ブランド鋼は日本共通の認識ではありませんので注意しましょう。