SCM440HやSCM440(H)など非常に紛らわしい表記が混在していますが、これらの記号の意味はそれぞれ違います。
ひとつずつみていきましょう。
H材=Hバンド鋼とは
H材とは「焼入れ性を保証した鋼材」でJIS G 4052に規定されています。
クロムモリブデン鋼やニッケルクロムモリブデン鋼、マンガン鋼など24種について規定されています。
例:SCM440H = 焼入れ性が保証されたSCM440材
なおS45Cなどの炭素鋼はJIS G 4052には規定されていないため、”S45CH”と記載がある場合は確認が必要です。恐らく次で紹介するS45C(H)=調質材の事を意図しているかと思われます。
(H)マルエイチ材=調質材とは
(H)材は調質を施した材料の事です。
調質を行うことによって強度と靭性を向上させます。
例:SCM440(H) = SCM440に調質を施した材料(HRC33前後)
※マル記号がないため、()カッコで括っています
(N)マルエヌ材=焼きならし材とは
(N)材は焼きならしを施した材料の事です。
焼きならしを行うことで金属組織を均一化し、機械的性質や切削性の改善を行います。
例:S45C(H) = S45Cに焼きならしを施した材料
※マル記号がないため、()カッコで括っています
(A)マルエー材=焼鈍し材
(A)材は焼鈍しを施した材料の事です。
焼鈍しを行うことによって金属を軟化させ、加工を行いやすくします。
例:S45C(A) = S45Cに焼鈍しを施した材料
※マル記号がないため、()カッコで括っています
参照
”JIS G 4052:2016 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼)”..2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html