FC300とは?鋳鉄の種類や特徴、デンスバーとの違いなどを解説

材料・処理知識

FC300は鋳鉄の一種で、熱で溶かした鉄鋼を型に入れて冷却する事によって作られます。炭素量が多く1.7%~6.68%を含んでおり、見た目の色から「ねずみ鋳鉄」とも言われます。

FC250の”300″は引張強度を示しており、引っ張り強度300(N/mm2)以上ということを表しております。
ちなみにFC200の場合は引張強度200(N/mm2)以上です。

FC300は市場流通性が低く、有名な”デンスバー”にもFC200とFC250相当の規格しかありません。
流通性の低い鋳物材料は特注により一気に高価になる場合があるので、FC200かFC250を選択するのが無難です。

鋳鉄の特徴

  • 耐摩耗性に優れる
     鋳鉄は炭素量が多く、耐摩耗性に優れています。
  • 切削性に優れる
     鋳鉄に含まれる黒鉛の潤滑効果により切削性が高くなるため、加工しやすい材料と言えます。
  • 振動吸収能が高い
     振動を吸収する能力が高いため、工作機械のベッドなどにも使用されます。
  • 耐熱性に優れる
     鋳鉄は炭素量が多いため、耐熱性にも優れます。

鋳鉄のデメリット

  • 溶接に向かない
     炭素量が多いため、溶接には向きません。
  • 塑性変形に向かない
     炭素量が多く靭性が低いため、プレス加工などの塑性変形を伴う加工には向きません。

鋳鉄の用途

・マニホールド、ベース、バルブ、ウエイト、ギアなど

デンスバーとは?デンスバーとFC300の違い

デンスバーも鋳鉄ですが虹技株式会社の登録商標であり、JIS規格のFC300とは異なります。
「Dense bar」=緻密な棒を意味しており、通常のFC材よりも欠陥が少なく中心部まで緻密な組織をしております。普通鋳鉄とダクタイル鋳鉄の種類があり、下記に一例を挙げます。
※デンスバーにFC300の規格はありません。JISの普通鋳鉄に対応するのはFC250とFC200のみです。

デンスバーJIS相当引っ張り
強さ(N/mm2)
CSiMnCuTiMg
E-2FC200180~2802.9~3.81.8~3.40.1~1.00.1~0.3
E-CFC250250~3502.9~3.81.8~3.40.1~1.00.1~0.30.003~0.020
D-4FCD400-15A400~5003.0~3.82.2~3.40.1~0.50.02~0.10
D-SFCD450-10450~
D-5FCD500-7A500~6003.0~3.82.2~3.40.2~1.0<0.50.02~0.10
D-6FCD600-3A600~7003.0~3.82.2~3.40.4~1.0<0.50.02~0.10
デンスバーの規格一覧、主要成分(%)の一例

参照

”JIS G 5501:1995 ねずみ鋳鉄品 ”.日本産業標準調査会.2022-03.https://www.jisc.go.jp/index.html
”デンスバー ”.虹技株式会社.2022-03.https://www.kogi.co.jp/bumon_densebar.html