FCDとは?球状黒鉛鋳鉄のFCDの特徴、FC材との違いなどを解説

FCD(球状黒鉛鋳鉄)はダクタイル鋳鉄とよばれる鋳鉄の一種で組織中の黒鉛が球状の形をしており、ねずみ鋳鉄よりも靭性に優れた材料です。

FCDにも種類があり、引張強さによって記号が異なります。
・FCD400 = 引張強さ400(N/mm2)以上
・FCD600 = 引張強さ600(N/mm2)以上
など

流通性の高いFCD材はFCD450とFCD500です。
FCD600以上の材料は市場流通性が低く、かなり高額になる場合がある上に非常に硬くて切削が難しいです。絶対的なこだわりが無ければ、FCD450かFCD500を選択するのが無難です。

FCDの特徴

  • 振動減衰能を有する
     FCDは伝わってきた振動が黒鉛の働きによって減衰されるため、振動や騒音を低減します。
  • 切削性に優れる
     黒鉛が潤滑の働きをするため、切削性が良くなります。ただし、FCD600以上になると非常に硬くなってくるため切削加工は難しくなっていきます。
  • 鋳造性に優れる
     通常の鋳鉄よりも「鋳巣」や「割れ」などの内部欠陥を引き起こしにくいです。
  • 耐摩耗性に優れる
     黒鉛の潤滑効果により摩擦抵抗が減るため、通常の鋳鉄よりもさらに耐摩耗性に優れます。

FCDの用途

・工作機械部品、自動車部品など

FC(片状黒鉛鋳鉄)との違い

FCDとFCは内部の黒鉛組織の形状が異なります。FCDは球状、FCは片状の黒鉛組織になっており、FCDの方が強度が高く靭性に優れています。