【表面処理】溶融亜鉛めっきとは 電気亜鉛めっきとの違い、特徴や用途などを解説


溶融亜鉛めっきは、溶かした亜鉛に鋼材を浸すことで金属の表面に亜鉛めっきを形成する処理です。
建築物やボルト、ナットなど様々な場面で使われており、「ドブめっき」とも呼ばれます。

非常に厚い被膜を形成することが可能で、ボルトなどで50μ程度、建築物で100μ程度のめっきを施すことができます。

亜鉛めっきの保護作用

亜鉛めっきの防食には2つの作用が働いています。

  • 保護被膜作用
     空気や水を通しにくい酸化被膜を形成し、錆から保護します。
  • 犠牲防食作用
     亜鉛めっきに傷が発生し鉄の素地が露出したとしても、周囲の亜鉛が鉄より先に溶け出すことで鉄を腐食から守ります
     

溶融亜鉛めっきの長所、メリット

  • 長い年月を経ても錆びない
  • 密着性が良く剝がれにくい
     鉄素地との密着性が良好で、長年経ってもめっきが剝がれにくいです。
  • 大型の製品の処理が可能
     めっき槽のサイズにもよりますが、設備によっては数メートルのサイズのものでも処理が可能です。
  • コストが安い

溶融亜鉛めっきの短所

  • 表面がややざらざらしている
     外観や精度を重視した小型の精密部品よりも、大型の架台や建築物などに向いています。
  • 処理後の歪に注意が必要
     薄く、長尺のものほど歪が発生しやすいです。

溶融亜鉛めっきの手順例

  1. 脱脂
     苛性ソーダなどで油脂等を除去します
  2. 酸洗
     塩酸などで錆や黒皮を除去します
  3. フラックス処理
     塩化アンモニウム溶液などで、めっきするまでの錆を防ぎます
  4. めっき処理
     450℃程度の溶融亜鉛槽でめっきします
  5. 冷却
     温水や空冷によって冷却します
  6. 仕上げ
     余計な酸化物などがでた場合は除去します

溶融亜鉛めっきの用途例

  • 建築物やガードレール
  • ボルト、ナット
  • 架台、パイプ、鋼板など

溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの違い

膜厚(平均的)めっき温度膜厚管理変形
溶融亜鉛めっき50~100μ450℃前後難しいあり
電気亜鉛めっき20~40℃程度容易無し

電気亜鉛めっきは、小物で比較的精密な部品に施すことが多いです。また、電気亜鉛めっき後にクロメート処理を施し耐食性を上げるのが一般的です。溶融亜鉛めっきは膜が厚いため、クロメート処理をすることは少ないです(亜鉛めっき鋼板を除く)。