前編では、研磨やブラスト、アルマイトなど、素材そのものの質感や耐食性を改善する表面処理について紹介しました。
後編では、塗装・粉体塗装・真空蒸着・電着塗装・めっき・PVD・レーザー加工・シルクスクリーン・染色など、外観の仕上げや機能性の付与に幅広く利用される表面処理を紹介します!
製品の外観を美しく仕上げたい場合だけでなく、耐摩耗性・耐食性・導電性などの機能を追加したい場合にも、表面処理は重要な工程です。
3 Painting & Organic Coatings
塗装・有機系コーティングは、部品の表面に塗膜を形成することで、色や光沢などの外観を整えると同時に、保護性能を付与できる表面処理です。
JUSTWAYでは、スプレー塗装、粉体塗装、真空蒸着、電着塗装などを提供しています。
3-1. スプレー塗装・マット

スプレー塗装は、スプレーガンなどを使用して塗料を微細な液滴として噴霧し、部品表面に均一な塗膜を形成する方法です。
マット塗装では光沢を抑えた落ち着いた外観に仕上げられるため、家電製品、スマートデバイス、樹脂部品など、反射を抑えた外観が求められる製品に適しています。
JUSTWAYでは、マット塗装についてPANTONEカラーに対応しており、ABS、アルミニウム、ナイロン、PEEK、PMMA、PC、POM、PVC、樹脂、TPUなど幅広い素材が対象となっています。
一般的な工程は、以下のように進みます。
- 表面の洗浄・下処理
- 必要に応じてプライマーを塗布
- スプレーガンなどで塗料を塗布
- 乾燥・硬化
- 必要に応じて研磨
- 表面を清掃して仕上げ
マット塗装は、光沢を抑えた均一な外観を比較的低コストで実現できる点がメリットです。
3-2. スプレー塗装・ハイグロス

ハイグロス塗装は、高い光沢と反射感を持つ塗膜を形成するスプレー塗装です。
マット塗装と同様に、金属やプラスチックなど幅広い素材に使用でき、製品に高級感のある外観を与えられます。
特に高光沢仕上げでは、塗装時のホコリや温度、湿度などの環境管理が仕上がりに大きく影響します。
さらに高い鏡面性が必要な場合は、クリアコートやウェットサンディング、バフ研磨などを組み合わせることもあります。
3-3 粉体塗装・マット/ハイグロス
粉体塗装は、粉末状の塗料を部品表面に吹き付けた後、加熱して硬化させる塗装方法です。液体塗料を使用する一般的なスプレー塗装とは異なり、乾燥工程ではなく焼き付けによって塗膜を形成します。
粉体塗料を静電気によって部品表面に付着させ、約200℃のオーブンで加熱することで、粉末が溶融・硬化して強固な塗膜になります。
一般的な塗装と比較して、耐摩耗性・耐傷性・耐食性に優れた塗膜を形成しやすいことが特徴です。また、PANTONEカラーにも対応しており、機能性だけでなくデザイン性も重視できます。
マット粉体塗装

マット粉体塗装は、光の反射を抑えた低光沢で落ち着いた外観に仕上げる方法です。
マット剤などを含む専用の粉体塗料を使用することで光沢を抑え、モダンで洗練された質感を実現します。光沢を抑えたい筐体や自動車部品、建築部材、各種工業製品などに適しています。
主な工程は以下のとおりです。
- 部品の洗浄・脱脂
- 必要に応じてリン酸塩処理などの前処理
- 静電気を利用して粉体塗料を均一に吹き付け
- 約200℃で焼き付け・硬化
- 冷却・検査
マット仕上げでは、通常の光沢塗装よりも反射を抑えた均一な外観を得られることがメリットです。
ハイグロス粉体塗装

ハイグロス粉体塗装は、高い光沢感と艶のある外観に仕上げる粉体塗装です。
粉体塗装ならではの耐久性を維持しながら、光沢のある仕上がりを実現できるため、外観品質と耐久性の両方が求められる自動車部品、家具、産業機器などに適しています。
JUSTWAYでは、ハイグロス粉体塗装についてPANTONEカラーに対応しており、鋼材、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス、チタンなどの金属を対象としています。
また、粉体塗装の膜厚は0.1~0.3mm程度となるため、精密な寸法が要求される部品では、塗膜による寸法変化をあらかじめ考慮する必要があります。
マットとハイグロスのどちらを選ぶかは、製品のデザインだけでなく、使用環境、耐久性、必要な光沢、寸法精度などを考慮して決めることが重要です。
3-4. 真空蒸着(Vacuum Plating)・マット/ハイグロス
真空蒸着(Vacuum Plating)は、真空環境下で金属や非金属の材料を蒸発・スパッタリングさせ、部品表面に非常に薄い膜を形成する表面処理です。
JUSTWAYでは、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法に対応しており、主に樹脂部品に金属調の外観を付与する用途に利用されています。高級家電や化粧品パッケージなど、意匠性が求められる製品にも適しています。
マット真空蒸着

金属膜を形成した後にマット塗装を施し、金属感を残しながら光沢を抑えた仕上がりにする方法です。
基本的には、洗浄・サンディング・プライマー処理 → 真空蒸着 → クリアコート → マット塗装 → 硬化という工程で仕上げます。
ハイグロス真空蒸着

金属膜を形成した後に光沢のあるトップコートを施し、高い反射性と金属光沢を持つ仕上がりにする方法です。
サンディング・洗浄・ベースコート → 真空蒸着 → 光沢トップコート → 硬化という工程が基本です。
真空蒸着は下地の状態が仕上がりに大きく影響するため、特に高光沢仕上げでは蒸着前のサンディングや表面処理が重要です。
マット・ハイグロスともにPANTONEカラーに対応しており、JUSTWAYでは対象材料としてResin(樹脂)を掲載しています。
3-5. 電着塗装

電着塗装(Electrophoresis)は、電気を利用して塗料粒子を部品表面に析出させる塗装方法です。
部品を塗料液に浸し、電場を利用して塗料粒子を表面に付着させた後、加熱して硬化させます。
スプレー塗装と比較して、複雑な形状や手の届きにくい部分にも比較的均一な膜を形成しやすいことが特徴です。
一般的な工程は、
- 洗浄・表面処理
- 電着液への浸漬
- 電圧を印加して塗料を析出
- 脱水・膜の緻密化
- 焼き付け・硬化
となります。
JUSTWAYでは、合金鋼、アルミニウム、真鍮、銅、軟鋼、ステンレス、チタンなどを対象材料として掲載しています。
特に均一性・耐食性・耐摩耗性を重視する金属部品に適した処理です。
4 Plating & Electrochemical Finishes
めっきは、部品表面に別の金属を薄く析出させる表面処理です。
外観を変えるだけでなく、耐食性、耐摩耗性、導電性などの機能を付与できます。
4-1. クロムめっき

クロムめっきは、部品表面に薄いクロム層を形成する処理です。
銀色の金属光沢を持つ外観に仕上げられるほか、耐摩耗性・耐食性・表面硬度などを向上させられます。
そのため、自動車部品、産業機器、装飾部品など幅広い用途があります。
一般的な工程では、洗浄・表面活性化・めっき液への浸漬・電解処理・洗浄・乾燥などを行います。
4-2. ニッケルめっき

ニッケルめっきは、部品表面にニッケルの薄膜を形成する処理です。
耐食性・耐摩耗性の向上に加え、銀白色の金属調の外観を得られます。
また、摩耗した部品や寸法が不足している部品の表面を補修する目的で利用される場合もあります。
JUSTWAYでは、合金鋼、アルミニウム、真鍮、銅、軟鋼、ステンレス、チタンなどを対象材料として掲載しています。
4-3. 亜鉛めっき

亜鉛めっきは、主に鉄鋼材料の表面に亜鉛皮膜を形成し、腐食や錆から母材を保護する処理です。
JUSTWAYでは電気亜鉛めっきによる処理として説明されています。
亜鉛は母材より先に腐食することで、鉄鋼部品を保護する犠牲防食作用を持っています。
そのため、装飾性よりも防錆性能を重視する部品に適しています。
なお、「亜鉛めっき」と「溶融亜鉛めっき(ドブ漬け)」は同じものではありません。JUSTWAYのページで説明されているのは電気化学的な亜鉛めっきです。
4-4. 銀めっき

銀めっきは、部品表面に薄い銀の層を形成する処理です。
銀特有の明るい金属光沢を得られるほか、高い電気伝導性・熱伝導性を活かして電子部品や工業用途にも利用されます。
一方で、銀は比較的高価な材料であるため、他のめっきよりコストが高くなる場合があります。
4-5. 金めっき

金めっきは、部品表面に薄い金の膜を形成する処理です。
高級感のある金色の外観を得られるだけでなく、電気的な特性や耐食性を活かして電子部品などにも利用されます。
金は非常に高価な材料であるため、必要な箇所に薄い皮膜として使用することでコストを抑えながら金の特性を利用できます。
4-6. スズめっき

スズめっきは、金属表面に薄いスズの皮膜を形成する処理です。
電子・自動車・産業分野などで利用され、特にはんだ付けとの相性が良いことが大きな特徴です。
一方、スズは比較的柔らかいため、用途によっては耐摩耗性に注意する必要があります。
4-7. PVD(Physical Vapor Deposition)

PVDは、物理蒸着によって非常に薄い膜を形成する表面処理です。
真空チャンバー内でコーティング材料を蒸発・イオン化し、基材表面に堆積させます。
JUSTWAYでは、高真空環境下でカソードアークを利用したPVDプロセスを説明しています。
PVDは薄膜ながら密着性に優れ、マットから光沢、金属調から非金属調までさまざまな外観を実現できます。
- 装飾性を高めたい
- 表面の耐久性を高めたい
- 金属調の高級感を出したい
といった用途に適しています。
5 Marking & Graphics
製品の表面にロゴ、文字、シリアル番号、図柄などを追加するための加工です。
塗装のように表面全体を覆うのではなく、必要な部分だけに情報やデザインを付加できることが特徴です。
5-1. レーザー彫刻

レーザー彫刻は、レーザー光を利用して材料表面を加工し、文字や図柄を形成する方法です。
工具が直接部品に接触しない非接触加工であるため、物理的な工具による変形や傷のリスクを抑えられます。
金属、ABS、アルミニウム、真鍮、銅、ナイロン、PETG、PLA、樹脂、TPUなど、幅広い材料が対象として掲載されています。
JUSTWAYでは、平面への加工のみ対応としており、AIまたはSVG形式のデータと、2D図面上で寸法・配置を指定することが求められています。
ロゴ、シリアル番号、バーコード、データマトリクスなど、耐久性のあるマーキングに適しています。
5-2. シルクスクリーン

シルクスクリーンは、メッシュ状の版にインクを通して、部品表面に文字やグラフィックを印刷する方法です。
PANTONEカラーに対応し、金属・樹脂など幅広い素材に使用できます。
こちらもJUSTWAYでは平面への印刷を前提としており、AIまたはSVG形式のデータと2D図面上での寸法・位置指定が必要です。
レーザー彫刻と違い、指定した色でロゴや文字を表現できることが大きなメリットです。
そのため、製品ロゴ、操作表示、注意書き、ブランドグラフィックなどに向いています。
5-3. エッチング

エッチングは、材料表面を選択的に加工して文字や図柄などを形成する処理です。
JUSTWAYの説明では、レーザーエッチングを中心に、化学エッチングや電解エッチングについても触れられています。
レーザーエッチングでは、レーザーの熱によって材料表面を変化させ、ロゴ、バーコード、シリアル番号などの恒久的なマーキングを形成します。
化学エッチングでは、フォトレジストなどで必要な部分を保護し、露出した部分を薬液によって除去します。用途によって加工方法が異なるため、必要な精度や材料、加工形状に応じて選択することが重要です。
6 Specialty & Other Processes
6-1. 染色

染色は、染料を材料内部または表面に浸透・定着させて色を付ける処理です。
JUSTWAYでは、ナイロンと樹脂を対象材料として掲載しており、PANTONEカラーに対応しています。
塗装とは異なり、表面に厚い塗膜を形成するのではなく、材料そのものを着色するため、部品の形状や質感を維持しながら色を付けられる場合があります。
一方で、材料や染料によって色の再現性や経時変化が異なるため、完全に同一の色を保証できるとは限りません。
基本的な工程は、
- 材料の準備
- 材料に適した染料の選択
- 染料液への浸漬
- 余分な染料の洗浄
- 色の定着
- 乾燥・仕上げ
という流れです。
特にナイロン系3Dプリント部品の着色など、塗装とは異なる仕上げを求める場合に有効です。
JUSTWAYではMJFのPA12について、標準的な表面処理として染色、マット真空蒸着、マットスプレー塗装、ハイグロススプレー塗装などを案内しています。
6-2. その他の表面処理

JUSTWAYでは、標準的な表面処理だけでなく、一覧にない特殊な仕上げや個別の要求にも対応するため、Othersという項目も用意されています。
表面処理は素材、形状、必要な外観、耐久性、数量などによって最適な方法が変わります。
標準メニューに適切な処理が見つからない場合でも、必要な仕上がりを明確に伝えることで、適切な加工方法を提案してもらえる可能性があります。
表面処理は「見た目」だけで選ばない
表面処理を選ぶ際には、単純に「マットがいい」「金属っぽくしたい」という外観だけで決めるのではなく、使用環境や必要な機能まで考慮することが重要です。
例えば、外観を重視する樹脂製品ならスプレー塗装や真空蒸着、高い耐久性を求める金属部品なら粉体塗装やPVD、防錆を重視する鉄鋼部品なら亜鉛めっき、製品ロゴやシリアル番号を入れるならレーザー彫刻、といったように適した処理は異なります。
表面処理の選び方
| 目的 | 向いている表面処理 |
|---|---|
| マットな外観 | マット塗装・マット粉体塗装・マット真空蒸着 |
| 高光沢の外観 | ハイグロス塗装・ハイグロス粉体塗装・ハイグロス真空蒸着 |
| 高い耐久性 | 粉体塗装・PVD・めっき |
| 防錆 | 亜鉛めっき・電着塗装 |
| 金属調の外観 | 真空蒸着・PVD・クロムめっき |
| 電気的特性 | 銀めっき・金めっき・スズめっき |
| ロゴ・文字 | レーザー彫刻・シルクスクリーン・エッチング |
| 樹脂の着色 | 染色・スプレー塗装 |
| 特殊な仕上げ | Others |
JUSTWAYでは、これら以外にもさまざまな表面処理を用意しており、製品や素材に応じて処理を選択できます。
まとめ
JUSTWAYの表面処理は、単純な塗装だけではありません。
塗装・粉体塗装・真空蒸着・電着塗装による外観と保護性能の向上、クロム・ニッケル・亜鉛・銀・金・スズめっきやPVDによる金属皮膜の形成、さらにレーザー彫刻・シルクスクリーン・エッチングによるマーキング、染色による樹脂の着色まで、用途に応じてさまざまな選択肢があります。
重要なのは、「どんな見た目にしたいか」だけでなく、どの素材に、どのような環境で使用し、どの程度の耐久性や機能性が必要なのかを明確にすることです。
3Dプリント品や切削加工品、板金部品などの外観を仕上げる際には、製品の用途と要求仕様に合わせて最適な表面処理を選択しましょう!
ぜひ、JUSTWAYで見積もりをしてみてください!

