製品開発において、電子回路やソフトウェア設計と並んで重要な工程の一つが「筐体(エンクロージャ)」の設計です。外装の形状や材質は、単に製品の見た目や触り心地を決めるだけでなく、放熱・防水・耐衝撃といった機能面や、組み立てやすさ、保守のしやすさにも大きく関わってきます。特に電子機器では、内部の基板や配線との整合性を取る必要があるため、機構設計は慎重な検討と経験が求められる分野です。
とはいえ、社内にメカ設計のエンジニアがいない場合や、CADツールの扱いに慣れていない場合、筐体設計は開発を進めるうえで大きなハードルになりがちです。製品アイデアはあるのに外装の設計が進まず、プロジェクトが足踏みしてしまう……そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、PCBWayが提供する「mechanical/enclosure design」サービスです。これは、筐体設計に特化したOEM対応のサービスで、開発者の要望に応じて外装設計からサンプル製作・データ納品までをトータルでサポートしてくれます。必要な情報をフォームに入力し、回路図や外形寸法図などの参考資料をアップロードするだけで、経験豊富なエンジニアが仕様に合わせた設計を行ってくれるという、非常に心強いサービスです。
また、単に3Dデータを作るだけではなく、使用環境(高温・低温・屋外使用など)や材質の要件、防水や耐衝撃性の確保といった細かなニーズにも対応可能。さらに、設計から3DプリントやCNC加工まで一気通貫で依頼できる点も、他社にはない魅力です。
この記事では、実際にPCBWayの「mechanical/enclosure design」サービスを活用するために、依頼時にどのような情報を準備すべきか、どんな視点でプロジェクトを伝えればよいかについて、技術的な観点から詳しく解説していきます。最後には、入力フォームの具体的な流れも紹介しますので、これから依頼を検討している方はぜひご覧ください。プロに任せて、製品化への道のりを一気に加速させましょう。
プロジェクト概要入力内容(翻訳・解説付き)
それでは実際にMechanical/Enclosure Designを利用する流れを説明していきます。

1.プロジェクトの選択
プロジェクトはPCB Layout,PCB Design,Mechanical/Enclosure Designと3種類あります。
今回は右端のMechanical/Enclosure Designを選択します。
2.プロジェクトタイトル(Project title)の入力
あなたのプロジェクトを一文で要約してください。
例:IoT温湿度センサー用の防水筐体設計
3.プロジェクト詳細(Project details)の入力
- Product description and usage
製品の説明と用途を記入します。 - Use environment requirements
使用される環境要件を記入します。 - Material requirements
材料の要件を記入します。
※プロジェクト詳細については、後述で詳しく解説します。
4.ファイルのアップロード(Upload files)
設計図(2D/3D CAD)、参考画像、構想メモなどをアップロードします。
(最大500MBまで)
5. 使用環境(Usage environment)
該当製品の使用環境仕様を選択してください。
- 屋内(indoor) - 屋外(outdoor) - 高温(high temperature) - 低温(low temperature)
- 湿気(humidity) - 振動(vibration) - 化学薬品の暴露(chemical exposure)
- 電磁干渉/電磁両立性(EMI / EMC) - その他(Other)
6. 希望納期(Expected delivery time)
希望納期をカレンダーから選択してください。
7. 筐体サンプルの希望有無(Do you need enclosure samples)
Yes / No(サンプルの提供が必要かどうか)
必要な場合は個数も入力します。
8. 予算(Budget)
おおよその希望予算を選択します(例:500ドル以下、500-2000ドル、2000-5000ドルなど)
ex.プロジェクト詳細の記入例、テンプレート、何を書くべきか
公式の参考例をもとに、どのようにプロジェクト詳細を記入していけばよいのかを解説します。
Example
I want to develop a device based on the ESP32 microcontroller. The functions of the product need to meet the following points:
Features:Microcontroller: ESP32 (Wi-Fi/Bluetooth)
Power Supply: Solar + Lithium-ion Battery (10000mAh, auto-switching)
Sensors: Magnetic + Ultrasonic (Hybrid) ( long range)
Communication: Wi-Fi + Bluetooth
Additional Components: RGB LED, Buzzer
Reprogramming Method: OTA Updates + USB/UART/SPI/I2C
You could design by the Altium Designer
Deliverables:Final product design files and manufacturing files,also include one debugged sample.
日本語訳
ESP32マイコンをベースにしたデバイスを開発したいと考えています。製品の機能は以下の要件を満たす必要があります。
機能要件:
- マイコン: ESP32(Wi-Fi / Bluetooth対応)
- 電源: ソーラー+リチウムイオンバッテリー(10000mAh、自動切替)
- センサー: 磁気+超音波センサーのハイブリッド(長距離対応)
- 通信方式: Wi-FiおよびBluetooth
- その他のコンポーネント: RGB LED、ブザー
- プログラム更新方式: OTAアップデートおよびUSB/UART/SPI/I2Cによる更新
- 設計ツール: Altium Designerで設計しても構いません
納品物:
最終製品の設計ファイルおよび製造用ファイル、加えてデバッグ済みのサンプル1点
何を書けばよいのか、技術的記載項目一覧
実際にどのようなことを書いていけばよいのか、上記のサンプルを参考にまとめました。
① 製品の概要・目的(Product Description & Usage)
- 製品の用途:何のための機器か(例:環境モニタリング、IoT端末、医療機器など)
- 搭載予定の電子基板や主要部品:マイコン(例:ESP32など)、センサー、バッテリーなど
- 外装の役割:保護、防塵、冷却、美観、組立性など
② 使用環境(Use Environment Requirements)
機械設計における筐体設計の重要因子となるため、以下の観点で明記します:
- 屋内/屋外:屋外であれば防水・防塵・紫外線対策が必要
- 温度条件:高温(例:60℃以上)/低温(例:−10℃以下)
- 湿度条件:高湿度環境下での使用有無
- 振動/衝撃:可搬機器・車載用途などでは耐振設計が必要
- 化学的曝露:薬品・油分・塩分などに触れる可能性があるか
- EMI/EMC要件:他機器からの電磁波干渉への対策が必要か
③ 材料要件(Material Requirements)
- 希望する材料:ABS、PC、アルミニウム、アクリルなど
- 色・透明度:色指定(Pantoneなど)や透明性が必要か
- 耐久性:耐衝撃性、防水性、UV耐性などの要求
- コスト優先 or 性能優先:設計上どちらを優先するか明示するのも効果的
④ 設計仕様(Design Notes)
- サイズ・寸法制約:外形寸法、部品取り付けスペースなど
- 組立方法:ねじ止め、スナップフィット、接着など
- 放熱要件:必要に応じてヒートシンクや通気口の設計
- パーツ数・構成:一体成型か分割構造か、カバー・ボトムの構成など
⑥ 納品物・成果物(Deliverables)
必要なもの:最終設計ファイル(STEPなど)、図面(2D寸法図・部品表)
おおよそ、このようなことをまとめて記入していけばひとまず問題はないかと思われます。
不足している情報や確認点がある場合は、チャットやメールなどで技術チームに確認してください。
総括:製品の完成度を高めるなら、筐体設計もプロに任せるのが近道
電子機器の開発において、筐体(エンクロージャ)の設計は見落とされがちな工程ですが、製品の品質・信頼性・ユーザー体験に直結する非常に重要な要素です。特に、量産を見据えたプロトタイプの段階では、見た目や耐久性だけでなく、組立性や保守性といった“使いやすさ”の部分も意識した設計が求められます。
PCBWayの「mechanical/enclosure design」サービスは、そうした設計上の課題を解決してくれる強力なソリューションです。ヒアリング情報を元に、プロの設計者が最適な構造・材質を提案し、スピーディに3Dモデルを提供してくれます。さらに、設計後はそのまま同社の加工設備でサンプル製作まで一貫して依頼できるため、手間やコストの削減にもつながります。
「設計の知識がない」「筐体の仕様に悩んでいる」「試作までのスピードを上げたい」といった悩みを抱える方にとって、非常に頼れる選択肢です。今後の開発を効率化し、より完成度の高い製品づくりを目指すためにも、ぜひPCBWayの筐体設計サービスを活用してみてはいかがでしょうか。
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