PLAフィラメント造形時の反り対策 温度設定やビルドプレートにスプレー塗布などの方法を紹介

PLAフィラメント使用時の反り対策について記録していきます。
PLAは初心者でも造形がしやすく反りにくい材質ですが、造形物が薄く長くなるほど反りの可能性が高くなってきます。

一般的なPLAの設定温度
ノズル:190-220℃
ベッド:0-60℃

反ってラフトが剥がれてしまう

造形中にラフトがビルドプレートから剥がれてきてしまう場合の原因調査と対策。

考えられる原因と対策

  • ビルドプレートが汚れている場合は綺麗にする
    ①ビルドプレートが冷えた状態でIPA(イソプロピルアルコール)などを使用しプレートの汚れを除去する。
    ※IPAは引火性が高いので取扱い注意です。
    ②ビルドプレートの温度を105℃程度まで上げた状態でスクレーパーなどを使用して汚れや付着物を除去する。
    ※火傷に注意しましょう
ヒロバ・ゼロ IPA 純度99.9%以上 480ml イソプロピルアルコール 2-プロパノール イソプロパノール GZ900
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  • マスキングテープなど物理的な対策を施す(効果大)
    ビルドプレートにマスキングテープを貼る。3Mのマスキングテープなどが密着性の向上に有効な場合もあります。マスキングテープの厚みは0.08~0.1mm程度ありますので、オートレベリングではない機種の場合は、その厚み分ノズルとの距離が近くなりますのでご注意ください。
    (ノズル距離が物理的に近くなる現象によって改善されるケースもあります、、マスキングテープを貼ったからといってノズル距離をわざわざ再調整する必要はないかと思います。柔らかい和紙で出来ていますので、押し付けられる事で厚みがほとんど無くなります。)

    ※使用は自己責任にてお願い致します

3M マスキングテープ 343 60mm×18M 2巻パック 343 60
和紙を基材とした車輌塗装用マスキングテープです。3M マスキングテープ 243J Plusと同様バランスが取れていますが、特に和紙の厚み・強度を増し、直線性に優れ、タテ裂けを起こしにくい特長を持っています。 ◆ 120℃、1時間の乾燥に耐えます。

・ビルドプレートに”のり”を塗布する
 ビルドプレートに専用のスティックのりを塗布する。ビルドプレートに汚れがたまりやすいですが、物理的な対策なので効果がでやすいです。スティックのりとマスキングテープは併用できませんので、どちらか片方づつ試してみましょう。

3Dプリンタ専用の”のり”もありますが、手に入らない場合は市販のスティックのり「トンボのしわなしPIT」がおすすめです。

トンボ鉛筆 スティックのり PiT シワなしピット S 5個 HCA-518
シワになりにくく、塗ってすぐなら貼り直しも可能な「シワなしピット」5個入り。 通常の糊よりも水分を抑え、代わりにアルコール成分を配合することで、シワが出にくく、キレイに仕上げることができる。 薄い紙もきれいな貼り上がり。薄い紙にも安心して使える。塗ってから1~2分は貼り直しも可能。 【ご注意】感熱紙、感圧紙、写真紙など...
  • 形状が薄く、長尺の場合は形状を見直す
     形状が平たく長辺が長いほど反りやすい傾向があります。形状自体を見直すことが可能であれば、厚みを持たせるなどして反りにくい形状を検討してみましょう。
  • インフィル率が高い場合は下げる
     インフィル率が高い=内部の充填率が高いほど、樹脂の収縮による反りが発生しやすくなります。可能な限りインフィル率を下げてみましょう。
  • ラフト形状を見直す
     ラフト1層目の厚みを薄くし、吐出率が高ければ少し下げ、充填率を高くして様子をみましょう。1層目とビルドプレートが触れる面積が増えた方が比較的密着しやすくなります。
  • 冷却ファンを見直す
     冷却ファンによる急速な収縮により反りが誘発される場合もあります。最初の数層はファンを使用せず、低回転数でのファン冷却による造形を試してみてください。ただし、冷却が不足していると傾斜部の造形が荒れる危険性も高くなりますので注意してください。
  • エンクロージャーを使用する
     エンクロージャーとは、3Dプリンタの周りに設置する温度管理のための囲いです。通常であればPLAを使用する際にエンクロージャーが無くても造形に影響はほとんどありませんが、エンクロージャーがあれば周囲の温度を一定に保てます。そのため熱収縮による反りを防ぐ上でエンクロージャーは一定の効果があると言えます。