モノづくりの世界においては「製品の品質が良い」という事は最も重要だと言っても過言ではありません。
また「モノ」ではなく無形の「サービス」を取り扱う業界においても「サービスの質が良い」という事は非常に大切で、品質を重視するということは、顧客のニーズを満たすという事に繋がります。
では、モノづくりにおける「製品の品質」とはどういったものなのか、詳しくみていきましょう。
品質を要素に分解する
品質においては「顧客の要求を満たすものであるかどうか」が重要です。
つまり顧客のニーズを考えずに、とにかく高性能で綺麗な見た目をしていればいいという訳ではありません。
いくら性能が良くても、価格が高くて使いにくい上に安全面への配慮がなされていない製品は「品質が良い」と言えません。
品質を構成する要素は考え方により様々ありますが、下記に一例を挙げます。
- 機能性
製品が目的の機能を果たしているかどうか。 - 性能
製品が目的の機能を”どの程度”果たすか。 - 意匠性
製品の形状や色彩などデザインの善し悪し。 - 互換性
製品に互換性があるか。別の構成部品を組み合わせたり、汎用的な使い方ができるか。 - 経済性
製品自体の価格、及び保守費用はどの程度かかるか。 - 入手可能性
必要な時に必要なだけ手に入るか。 - 信頼性
製品が目的の機能を果たすことができる期間。 - 安全性
製品を使用することでユーザーに危険が及ばないか。 - 使いやすさ
製品が使いやすいかどうか。
などといったものが挙げられます。
ひとえに性能が高くて美観に優れているだけでは「品質が高いと言えない」理由が理解できたかと思います。
品質における3つの観点
品質の要素をみていきましたが、品質においては3つの観点というそれぞれ異なった見方が存在します。
- 要求品質(顧客にとっての品質)
顧客が求めている品質 - 設計品質(ねらいの品質)
要求品質を満たすべく、設計された品質。カタログに記載されるような品質。 - 製造品質(できばえの品質)
実際に製造され、顧客に提供された製品の品質。
このように顧客にとっての品質と、製品を作る側の品質は見方が違うことがわかります。
モノを作るにあたっては、まずは顧客の要求を理解し、設計を行ったものをカタログなどに公表して品質を保証する事が求められます。
一度決められた設計品質は、設計変更を行わない限り変化することはありません。一方、製造品質は人や機械、環境などいわゆる5M+1Eによって変化します。
なので、製造現場において日々作られる製品の品質を保つことが、いかに重要で難しい事かがわかります。
5M+1Eとは
Man(人)・Method(方法)・Measurement(測定)・Material(材料)・
Machine(機械)・Environment(環境)の頭文字を取った6つの要素です。原因を特定する際の要素分類などに用いられることがあります。
まとめ
モノづくりの分野においても、パッと見では判断できない品質、知識を持った技術者でなければ見えない品質も多く存在します。
製品の品質を高く保つためには、そういった「見えない品質」をできるだけ言語化し共有することが大切です。
そして、品質の3つの観点と9つの要素といった全体性を見ながら、顧客の満足度を満たせるように常に心がける必要があります。