CAD(Computer Aided Design)はコンピューター支援設計とも呼ばれ、その名の通りパソコンを使用した設計ソフトの総称です。
CADは大きく分けて2DCADと3DCADが存在します。
CADの種類
- 2DCAD(2次元CAD)
平面で形状を表現、描画するソフトです。建築や機械、電子図面など様々な分野で使用されています。 - 3DCAD(3次元CAD)
立体的に形状を表現することができます。視覚的にわかりやすく、図面が読めない人にも理解がしやすいです。
2DCAD
2DCADの特徴
- 平面図データを設計、製作することができる
2DCADは主に図面を製作する目的で利用されます。 - 動作が軽く、導入費用が安い
比較的動作が軽いものが多く、導入費用も安いソフトが多いです。また、無料ソフトも存在します。 - 紙図面よりもデータの管理、修正がしやすい
ドラフターなどで書いた紙図面はデータの管理や修正が非常に大変です。2DCADでは、数値を変更するだけで修正を行うこともでき、他のソフト間でもデータのやり取りが簡易にできます。
2DCADの短所・デメリット
- 平面図が理解できないと製図できない
- 部品同士の干渉などを確認できない(機械分野)
機械分野などにおいて組み合わせ部品を設計した際に、干渉チェックなどを行うことができません。
2DCADソフトが導入されている主な業界
- 機械用2DCAD → 製造業
機械用2DCADは金属部品や樹脂部品など、部品を必要とする製造業に広く使用されています。 - 建築系2DCAD → 建設業界(建築、土木)
ビルやマンション、橋などの建造物の図面を製作する際に使用されています。 - 電気系2DCAD → 半導体、電気系業界
半導体の設計や回路図の設計に使用されています。
3DCAD
3DCADで出来る事
- 部品の設計、製図
立体図を変換して2D図面にすることも可能です。 - 3Dプリンタ用データの製作
stlデータなどへの変換も可能です。 - 構造解析、シミュレーション
流体シミュレーション、疲労解析、荷重解析など高度な計算が可能です。 - レンダリング
立体形状に素材や色を貼り付けることができ、より実物に近いモデルを表現することができます。
3DCADの種類、グレード
- ハイエンドCAD
機能が高く、主に自動車・航空・宇宙系の業界に導入されています。導入コストはパッケージや用途によって大きく異なります。導入だけで数百万~1,000万程度、さらに年間保守料がかかっていくものが多いです。代表的なソフトはCATIA,NX,Creo Parametricなどです。 - ミッドレンジCAD
ハイエンドには劣りますが、比較的機能が豊富でコストを抑えられるタイプです。導入コストは年間数十万~程度、もしくは買い切り100万~程度で、代表的なソフトはSolid works、Solid edgeなどです。 - ローエンドCAD
機能は制限されますが、その分コストが非常に安いタイプです。
Fusion360など「一部機能を制限した無料版」を備えるソフトもあります。
3DCADの長所・メリット
- 誰でもモデルを視覚的に理解できる
2DCADと違い、CADの知識がない人でも視覚的に理解することができます。 - 工学的検証を行うことができる(Computer-Aided Engineering=CAE)
- NC工作機械との連携を行える(Computer-Aided Manufacturing=CAM)
- 部品同士の干渉を確認できる(組立て=アッセンブリ)ができる
- 3Dプリンタ向けのデータ変換、連携ができる(Rapid Prototyping=RP試作)
- 3Dモデルを2D図面化できる
- 体積、重量などを計算できる
3DCADの短所・デメリット
- 導入コストが高い
前述の3DCADのグレードにもよりますが、企業として導入して運用していくにはそれなりのコストが必要になってきます。 - 低スペックなパソコンでは動作しないor動きが遅い
3DCADを使用するには、パソコンのスペックが使用3Dソフトの要件を満たしている必要があります。特に画像を描画するグラフィックボード(GPU)の重要性は大きいです。
おすすめの3DCADソフト
- Fusion360(AutoDesk社)
こちらはCAMやレンダリング、シュミレーションなどの機能も備わっている3DCADですが、年間6万程度と非常にコストが安いです。また、機能は制限されますが無料版もあります。使用条件はありますが、無料でここまでの機能を使えるのは素晴らしいです。
総括
2DCADと3DCADの違いはわかりましたでしょうか。
昔は非常に高価なものしかなかった3DCADですが、今では無料にも関わらずそれなりの機能を携えたソフトもでてきております。
一部の大企業だけが使うものだったものが個人単位で利用が可能な時代になりました。
CADという存在は今後さらに、ものづくりにおける重要な役割を担っていくものになるでしょう。