「3Dプリンタを買ったはいいが何をつくればいいかわからない、、」
一度はこんな悩みを持った事がありませんか?
この記事では実際に3Dプリンタで造形した日用品や道具などを紹介していきます。
今回は第二弾です!
造形したのは「磁石をはめ込んで使うフック」です。
熱積層造形(FDM)の3DプリンタxPLA樹脂で造形しました。
このように、プリントしたものと磁石を組み合わせて一つのパーツにしています。
今回も完成写真を先にお見せします。
さて、この写真でわかりますでしょうか。
フック上のパーツに磁石を埋め込み「泡立てネット」をひっかけています。
私のお風呂場は磁石が引っ付くタイプの壁でしたので、このように壁にピタッとくっつける事ができます。
もし「私の家は磁石がくっつかないタイプのお風呂場です!」という場合は、キッチンなど別の磁石が使える場所に応用してみて下さいm(_ _)m
手順
- 磁石のサイズを計測
- 3DCADでモデリング(FUSION360使用)
- スライスでデータを変換
- 印刷
- 磁石をはめ込んで完成!
1.磁石のサイズを計測
まずはデジタルノギスで磁石のサイズを測定します。
今回使用する磁石はコチラ
DAISOの25個入り強力磁石です。
「強力」と書いてありますが、残念ながらネオジムではありません。
ネオジムはもっと高級なので、DAISOでも1個~8個入りの小さいものしか売ってません。(数店舗探しましたがネオジム磁石は在庫がありませんでした泣)
まあ今回は軽いものをぶら下げるフックなので、磁力はそこまで強くなくても構いません。
この25個入マグネットは非常にコスパがいいです。ただ少しキズが多いのと汚れているのが欠点です。
※マグネットを使用する壁などに傷が付く恐れがあります。十分注意しましょう。
測定結果は”φ17.7mm”程度でした。
これを基準にモデリングしていきます。
2.CADでモデリング
今回もFUSION360を使ってモデリングしました。
磁石が直径17.7mmだったので、はめ込む穴には少しクリアランス(隙間)が必要です。
今回は狭めでいきたいので片側0.4mmの隙間にしました。
穴の直径18.5mmなので、0.8mmの隙間ができた事になります。
フック部分は、スイープで作ります。
本体の側面にφ3mmの円を描き、側面にスケッチでスイープするパスを描きます。
うまく引っ掛かるような形状であれば何でも構いません。
穴の口元に0.5mmで面取りします。
前回でも言いましたが、口元に少しでもバリやカエリがあると入らなくなってしまいます。
面取りを忘れないようにしましょう。
また、フックの根本はフィレットをかけましょう。
根本部分には力が集中して、ポキっと折れやすくなります。
これを応力集中と言いますが、この現象を避けるためにフィレット(R)をかけます。
3.スライスによるデータ変換
3Dプリンタで出力するには、STLなどのデータに変換する必要があります。
このSTLデータをスライスソフトで3D出力する条件を設定して造形していきます。
さて、今回の形状はフックになっているので、前回とは少し違う設定が必要になります。
熱積層造形は、下から順番に一層ずつ積み上げていく造形方法です。
では、宙に浮いた部分はどうやって造形するのでしょうか。
そこで「サポート材」の出番です。
上の画像で縦の棒状になって横にずらっと並んでいるのが「サポート材」のプレビューです。
このサポート材で支えながら造形していき、完成した後でサポート材をパキっと除去します。
大抵のスライスソフトには、自動でサポート材を付ける機能があります。
大まかな設定さえすれば、あとは自動で必要箇所にサポート材を設定してくれます。
今回のモデルは1個あたり20分程度で出力できるようです。
4.出力
底面にくっついているのが「ラフト」と呼ばれるもので、造形中に反ったり剥がれたりしないようにするための薄い土台のようなものです。
そしてフックの部分にくっついている余分な部分が「サポート材」です。
このラフトとサポート材は簡単に剥がれるので、ニッパーなどで除去しましょう。
ただし、丁寧にとらないと大事な本体部分が割れたりしてしまいますので気を付けましょう。
5.完成
所感
磁石は割とスッポリはまりました。
ですが、外れて落ちてしまうのも嫌なので、両面テープで磁石とパーツをくっ付けておきました。
個人的には磁石と3Dプリンタは相性が良い組み合わせだと思います。
アイデア次第でもっと様々なパーツを生み出す事ができるはずです。
また今回は実験もかねての造形だったので非常にシンプルなフックでしたが、もっと複雑な形のフックも3Dプリンタなら作る事ができます。
磁石を使うときは精密機器などに気を付けて、楽しく造形しましょう。
また、今回紹介したDAISOの磁石はザラザラしているので、大事なものに傷を付けないように注意してください!まずは汚れを落としてバリや傷を除去してから使う事をオススメします。
※この記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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