【熱処理】高周波焼入れとは 特徴や効果を解説

熱処理

高周波焼入れとは熱処理の一種で、材料全体ではなく特定部分の表面にのみ焼入れを施すものです。必要な個所のみ硬度を入れることができます。

高周波焼入れの方法

加熱コイルに高周波誘導電流を流し、コイルに磁力を発生させることにより、鋼の表面を急速に加熱します。その後、すぐに水などで急速冷却することにより表層だけ硬化させます。その後、靭性を復活させるために必ず焼戻しを行います。

使用するコイルの種類

  • 外面コイル
     最も一般的なコイルで、シャフトなどの外周を焼入れするのに用いられます。
  • 内面コイル
     穴形状の内側を焼入れするのに用いられるコイルです。
  • 平面コイル
     角物、ブロック形状の部品の平面などに焼入れするのに用いられます。

高周波焼入れの長所・メリット

  • 耐摩耗性・疲労強度を向上させることができる
  • 局所的に硬化することができる
  • 靭性を保つことができる
     全体焼入れと違い、必要な部分の表層のみに焼入れを施すので、内部の靭性は保たれたままとなります。
  • 短時間で処理をすることができる
  • 浸炭や窒化よりも硬化層が深い
     電気エネルギーを使うため、管理が容易で硬化層の深さも楽に制御できます。

高周波焼入れの短所・デメリット

  • 複雑な形状には適していない
     複雑な形状の場合、内部の過電流が一定にならないため適していない。
  • 大きな形状に適していない
     部品が大きいと専用の大型コイルが必要になってくるだけでなく、高出力電源も必要になってくるので通常の設備では対応ができない

高周波焼入れに適した主な材料

  • S45C、S50Cなどの炭素鋼
  • SCM440、SUJ2、SKS3、SKD11などの合金鋼
  • SUS420J2、SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス
     高周波焼入れはねじり強度に優れているため、特にシャフトなどの軸類部品に多く用いられています。