18-8系ステンレス SUS303
ステンレス鋼は、5大元素にクロムとニッケルを加えた合金であり、その含有量によって種類が分類されています。
SUS303はCr約18%、Ni約8%を含んでいる「18-8系ステンレス」に属します。
SUS303はリン(P)と硫黄(S)を多く含んでおり、快削性に優れます。
SUS303とSUS304の違い
違いはSUS303にはリン・硫黄が添加されているということです。そのためSUS303は切削性が向上しておりますが、耐食性と溶接性についてはSUS304の方が優れております。
SUS303の長所・メリット
- 被削性が良い
リンと硫黄の添加によって切削性が向上しております。 - 耐食性がある
SUS303はCrによって表面に不動態被膜を形成しており、錆を防いでおります。
また自己修復性があるため、傷ついても瞬時に被膜を再生します。
ただし塩分には弱く、塩素イオンによって不動態被膜が破壊されてしまうため注意が必要です。
SUS303の短所・デメリット
- 耐食性はSUS304よりも劣る
SUS303に添加されているリンと硫黄は、合金の性質を損なう有害な添加物でもあります。耐食性を重視する場合はSUS304を選択した方が良いと言えます。
加工方法について
- 切削加工
SUS303は被削性に優れているため、切削に向いております。 - 溶接
溶接も可能ですが、SUS303はリン・硫黄を添加しているためSUS304より溶接性は劣ります。
表面処理について
- めっき
SUS303は耐食性が若干劣るため、耐食性を向上させたい場合は硬質クロムメッキを施すことがあります。 - 焼入れ
SUS303は低炭素合金なので焼入れによる硬度の上昇はありません。焼入れで硬度を上げたい場合は、SUS420J2やSUS440Cなどの「マルテンサイト系ステンレス」を選びましょう
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参照
”JIS G 4304:2021 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯”.日本産業標準調査会.2022-03.https://www.jisc.go.jp/index.html
材料について学びたい方は→【材料を学ぶ】1.材料の全体像 材料の種類や特性を解説