この記事では寸法許容差の表記について説明します。
図面に書いてある寸法の横に「±0.1」「-0.02」などの数字が書いてあることがあります。
これは寸法許容差というもので「ここに指定された範囲以内に収まれば問題有りませんよ」ということを示しています。
下の例を見てみましょう。
55±0.1と書いてあります。
この場合はプラスマイナス両方の数値を見ていきます。
すると、55+0.1=55.1と55-0.1=54.9となります。
つまり、出来上がった製品の寸法が「54.9~55.1mm」の間の数値であれば合格となります。
では他のパターンも見てみましょう。
40の横に「0 -0.02」と書いてあります。
このように上限と下限の数値が同じでない場合は、上下二段に分けて記載します。
この場合は40+0=40と40-0.02=39.98となります。
つまり、完成した部品の寸法が「39.98~40mm」の範囲に入っていれば合格となります。
先ほどの55±0.1の場合は合格の範囲が0.2mmありましたが、こちらはどうでしょう。
合格数値の範囲が0.02mmしかありません。先ほどよりも精度がかなり厳しいことが分かりますね。
では、この表記方法についてもう少し別のパターンを見ていきましょう。
このように両方マイナス、両方プラスの場合もあります。
左画像の寸法は「39.95~39.98mm」
右画像の寸法は「40.2~40.5mm」の範囲を示しています。
これらの表記にはルールがあり、二段に分かれた上側が大きな数値になるようにします。
プラスの場合は数値が大きい方が上で、マイナスの場合は逆に数値が小さな方が上に記載します。(40-0.02=39.98の方が、40-0.05=39.95より大きな数値となるため)
最後に、プラスとゼロの表記の場合も紹介しておきます。
もうお判りでしょうが、この場合は「40~40.2mm」の範囲となります。
さて、ここまで許容差について紹介してきましたが、プラスもマイナスも何も書かれていない場合も当然存在します。
ただ単に「40」だけが書かれていたからといって、40ジャストを狙ってくださいという話ではありません。
いくら機械の精度が良くても、40.01や40.001などと必ず誤差が発生します。
完全な40.0000000…なんてものは存在しないと考えてください。
このような場合は通常、JISで定められた「普通公差」を参考にします。
(普通公差に関する記事はこちら→普通公差とは?)
普通公差を簡単に説明すると「許容差が書かれていない寸法については、この一覧の公差数値を適用してね」といったものです。
普通公差にも粗級、中級、精級などのランクが存在しますが、今回は一般的な中級として考えます。
寸法40mmの場合は普通公差中級を当てはめると±0.3となります。
なので40±0.3の範囲に入れば合格です。
精度というものは厳しくすればするほどコストも納期もかかるものだと思ってください。
ただ単に厳しくするだけではいけません。
重要な寸法と、そうでない寸法をしっかり見極める事が肝心となってきます。
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