FTA(故障の木解析)とは?機器の故障など事象をトップダウンで分析する解析法


FTA(Fault Tree Analysis)とは製品の故障、およびそれによって起こる事故の分析に用いられる解析手法で、故障の木解析(フォルトツリー解析)とも呼ばれます。

この手法は、装置の故障要因だけでなく、外的要因も把握することにより、特定事象の発生確率を分析する手立てとなります。

FTAに使用される樹形図

FTAにおいては、故障の木という樹形図(FT図)が用いられます。

この樹形図では、特定事象(好ましくない現象)を最上位に置き、これらの発生要因を展開していきます。
そしてこの下位レベルへの展開を繰り返す事により、根本的な原因となる事象までたどり着き、トップ事象と各要因の関係性を把握することができます。

オーブントースターのFT図の作成例「加熱できない」をトップ事象とするFT図

引用:一般財団法人 機械振興協会「故障の影響解析(FMEA)と、故障の木解析(FTA)の活用 詳細」

上図の例においては、オーブントースターが加熱できない場合のFT図が記されています。
最上位の「加熱できない」の下にある記号は「OR回路(論理和)」です。
OR回路では、下位のいずれかの事象が起これば上位の事象が発生します。

上図では「ヒーターの故障」「制御部の故障」「タイマーの故障」のいずれか一つ以上が発生した場合「加熱できない」という事象が発生するということになります。

FTAの使いどころ

  • 既存の製品、機器に発生した問題の分析や処理
     既にある製品が引き起こした事故や、機械が故障した時に問題を分析し、同じ過ちを繰り返さないよう改善する手立てとなります
  • 新製品の設計における事故予測
     FTAでは事故予測を立てる事ができます。起こりえる事故を予め洗い出し、対策を立てる事によって事故を未然に防ぐ手立てとなります。

FTAの手順

  1. 対象を明確にする
     故障や事故など、最上位事象となる「望ましくないイベント」を特定します。
  2. 上位事象の発生につながる事象の要因を漏れなく洗い出す
  3. FT図を作図する
  4. 発生確率を明らかにする
    下位事象の発生確率を計算し、それをもとに上位の発生確率を求めます。
  5. 対策を実施する
     発生確率や重要性の高い事項から優先的に対策を実施します。

FTA解析を用いる事で、潜在的なリスク要因を明らかにし、それらを取り除く事ができます。
事故は発生した後の対策も重要ですが、何よりもまずは未然に防ぐことが第一です。
新しい製品を開発する際には、必ず故障や事故のリスクを下げるように対策をしましょう。