FCD500とは?球状黒鉛鋳鉄のFCDの特徴、FC材との違いなどを解説

FCD(球状黒鉛鋳鉄)はダクタイル鋳鉄とよばれる鋳鉄の一種で組織中の黒鉛が球状の形をしており、ねずみ鋳鉄よりも靭性に優れた材料です。

FCDにも種類があり、引張強さによって記号が異なります。
・FCD500 = 引張強さ500(N/mm2)以上
・FCD600 = 引張強さ600(N/mm2)以上

また、FCD500は正式には”FCD500-7″という規格になります。
後ろの”7″は伸び(%)を示しており、FCD500-7は7%以上の伸びとなります。

JIS規格引張強さ(N/mm2)0.2%耐力(N/mm2)伸び(%)
FCD350-22350以上220以上22以上
FCD400-18400以上250以上18以上
FCD400-15400以上250以上18以上
FCD450-10450以上280以上15以上
FCD500-7500以上320以上7以上
FCD600-3600以上370以上3以上
FCD700-2700以上420以上2以上
FCD800-2800以上480以上2以上

伸びとは材料に引張力を加えた時の変形量を表します。伸びが大きい材料ほど、破断するまでに伸びる=延性の高い材料と言えます。


FCD材の市場流通性について

流通性の高いFCD材はFCD450とFCD500です。
FCD600以上の材料は市場流通性が低く、かなり高額になる場合がある上に非常に硬くて切削が難しいです。絶対的なこだわりが無ければ、FCD450かFCD500を選択するのが無難です。

FCD500の特徴

  • 振動減衰能を有する
     FCDは伝わってきた振動が黒鉛の働きによって減衰されるため、振動や騒音を低減します。
    この減衰能は通常の鋳鋼よりもFCDの方が優れます。
  • 切削性に優れる
     黒鉛が潤滑の働きをするため、切削性が良くなります。
  • 鋳造性に優れる
     通常の鋳鉄よりも「鋳巣」や「割れ」などの内部欠陥を引き起こしにくいです。
  • 耐摩耗性に優れる
     黒鉛の潤滑効果により摩擦抵抗が減るため、通常の鋳鉄よりもさらに耐摩耗性に優れます。

FCDの用途

・工作機械部品、自動車部品など

FC(片状黒鉛鋳鉄)との違い

FCDとFCは内部の黒鉛組織の形状が異なります。FCDは球状、FCは片状の黒鉛組織になっており、FCDの方が強度が高く靭性に優れています。