【製造業の業界用語】金属における「かじる、かじり」とは?

製造業未経験の方は、諸先輩方が使っている業界用語を理解するのも一苦労ですよね。
今回は「かじり、かじる」というワードについて説明します。

かじり(かじる)とは摩擦などによって金属表面同士がくっ付いてしまうこと(焼き付き)を指します。

かじり の例①ステンレス製のネジとステンレス母材

例えば、ステンレスのネジのオネジとメネジを締め付ける際に、ネジ山に摩擦熱が発生します。そしてその熱により表面が溶着して動かなくなってしまうことがあります。これが「かじり」現象の一つです。

ステンレスは特に熱伝導率が低く、熱膨張率が高いため上記のような現象が発生しやすいです。
(SUS304の熱伝導率は鉄の1/3、熱膨張率は鉄の1.5倍)

対処法としては「表面処理を施す・潤滑剤を塗布する・材質をSCMなどの鉄+クロメート処理に変更する」などといった方法があげられます。
※ただし、潤滑剤をネジ部に塗布すると摩擦係数が下がるため、トルク調整に注意する必要があります。

かじり の例②ハードクロムメッキ(硬質クロムめっき)同士のかじり

硬質クロムめっきは、摩擦係数が小さく耐摩耗性に優れためっきです。
しかし、硬質クロムめっき同士で摺動してしまうと、上述の”かじり現象”が発生し、摩耗が早くなってしまうため注意が必要です。摺動部に採用する際は気をつけましょう。