製造業に携わっていない人も「測定」という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。
測定とは、対象物の寸法や量などの値を求め、数値や符号として表すものです。
そしてその「値」と「基準値」を比較し、部品や製品の合否を判定します。
測定の方法
測定の方法には「直接測定」「間接測定」「比較測定」の三つの方法があります。
1.直接測定(絶対測定)
直接測定とは、スケール・ノギス・マイクロメータ・三次元測定器などの測定器をつかって、対象物を直接測定する方法です。
2.間接測定
間接測定とは「測定したい量と関係がある別の量」について測定を行い、その結果から対象物の測定値を求める方法です。
例えば、野球のスピードガンにも間接測定法が使われています。
スピードガンでは、照射した電磁波の周波数から球の速度を算出しています。
3.比較測定
比較測定とは、基準を用いて、対象物との差から測定値を求める方法です。
代表的なものはダイヤルゲージ、リングゲージ、ネジゲージなどが挙げられます。
「測定」と「計測」の違いとは
測定と計測、どちらも似たような意味を持っているため使い分けが難しいです。
では具体的にどのような違いがあるのか、JISで記されている定義をもとに比較してみましょう。
引用:JIS Z 8103 2019
・測定
「ある量をそれと同じ種類の量の測定単位と比較して、その量の値を実験的に得るプロセス」
・計測
「特定の目的をもって、測定の方法及び手段を考究し、実施し、その結果を用いて所期の目的を達成させること」
※ 所期=期待している事柄
上記の2つを比較してみると、どちらも「量を測る」という行為が含まれています。ただ、計測を定義する文言の中には「測定」という言葉が含まれています。
「計測」は測定を行うだけでなく、手段を考える所から始まり目的を達成させるという一連のプロセスを指しています。
つまり、計測には「目的を明らかにし、手段を考え、実践し、結果を得る」という大きく分けて4つの領域を包括していることになります。
一方の測定は、「実践する(量を数値化する)」という作業のみを意味するものだという事がわかります。
※あくまでJISの定義を用いた解釈です。
最後に
測定は非常に繊細な作業で、測定器の取り扱いには十分注意が必要です。
正しい環境下で測定器を保管し、使用の前後には必ず手入れを行いましょう。
参照
”JIS Z 8103 計測用語”.日本産業標準調査会.2021-02.https://www.jisc.go.jp/index.html