DH2Fは大同特殊鋼株式会社が開発したブランド鋼です。
SKD61を改良しており、HRC37~41程度の硬度が入っているプリハードン鋼で、快削元素を添加しているため切削性に優れています。
DH2Fの成分とSKD61の比較
成分的に大きな違いはありませんが”S”に対する記載が無く快削元素を添加しているので、切削性向上のために意図的にSを添加している可能性もあります。(あくまで推測です)
その他の大きな違いは「プリハードン」であるということです。
既に硬度がHRC40前後入っているので、熱処理など後工程を省くことが可能です。
SKD61の詳細はこちら → 【ダイス鋼】SKD61とは?
長所・メリット
- 耐熱性に優れている
- 耐摩耗性に優れている
- プリハードンなので後工程の熱処理が不要
熱処理による変形の心配もなく、納期短縮にもつながります。 - 耐ヒートチェック性が良好
ヒートチェックとは、加熱と冷却が繰り返されて素材に亀裂が発生する事です。DH2Fはヒートチェック耐性があります。
DHA1との違い
DHA1とDH2Fはどちらも大同特殊鋼が独自に開発したブランド鋼です。
- DHA1(SKD61相当)
JISのSKD61に相当する汎用熱間ダイス鋼です。熱間加工での金型やチップなどに使われています。一般的には焼入れ硬度HRC45~50程度で使用します。成分的にはSKD61と同じで、DH2Fとは違ってプリハードンではありません。
NAK55との違い
NAK55はプリハードンのHRC40程度と共通点がありますが、成分が大きく異なります。
SKD61の改良系であるDH2Fに対し、NAK55はNi,Al,Cuの時効硬化系合金です。
NAK55についての詳しい記事はこちら → NAK55とは
DH2Fの主な用途
ダイカスト金型部品、プレス型、ダイ、プラスチック金型、機械部品など
加工方法
- 切削加工
SKD61と異なり快削元素を添加しているため、切削性が良好です。
処理について
- 熱処理
プリハードン鋼なので、既に熱処理が施されています。 - めっき
防錆・耐久性をさらに向上させたい場合にはめっき処理をおすすめします。
参考資料
“JIS G 4404:2016”.日本産業標準調査会.2021-12.https://www.jisc.go.jp/index.html
”DH2F ”.大同特殊鋼株式会社.2022-02.https://www.daido.co.jp/common/pdf/pages/products/tool/dh2f.pdf
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