インコネルⓇとは?スペシャルメタルズ社が開発したニッケル合金、インコネル600などの種類やハステロイとの違いなどを解説

インコネル(inconelⓇ)はスペシャルメタルズ社が開発したニッケルベースの合金で、鉄・クロム・ニオブ・モリブデンなどを添加しており、耐食性・耐熱性・耐酸化性・耐クリープ性に優れた材料です。

高温下や厳しい腐食環境にも耐えうるため、原子炉や航空宇宙系の部品などにも用いられます。

インコネルにはいくつかの種類があり、インコネル600・625・718・X750をはじめとして様々な種類があります。

耐クリープ性とは?

高温下で荷重をかけ続けることによって起こる変形をクリープ現象といいます。耐クリープ性があれば、そのクリープ現象が起こりにくくなります。

インコネルの種類

インコネルには様々な種類がありますが、代表的な4種類を紹介します。

  • インコネル600
     耐酸化性に優れ、塩化物イオンにも耐性があります。工業炉や食品系の部品として使用する事があります。
  • インコネル625
     高温化での強度、靭性に優れ、孔食にも強いです。そのため、海水に触れる場所の部品にも使用する事ができます。
  • インコネル718
     過酷な温度下においても機械的性質に優れ、溶接性が良好な材料です。航空宇宙系の材料などに使用されます。
  • インコネルX750
     耐酸化性に優れ、700℃程度の温度下においても優れた機械的性質を示します。原子炉部品や圧力容器などに使用されます。

インコネルの用途

  • 航空宇宙系の部品材料、バイクのマフラー等

インコネルのデメリット

  • 材料が高価
     ニッケル合金全般に言える事ですが、ニッケル自体の価格が高いため、他の金属と比べると非常に高価です。
  • 切削性が悪い
     強度が高い上に熱伝導が悪く、非常に加工のしにくい難削材です。加工硬化も生じやすいため、刃物にキリコが溶着することもあります。工具の摩耗も早くなるため、加工条件には注意が必要です。

切削性を示す判断基準のひとつに被削指数というものがありますが、種類にもよりますがインコネルは10~15前後であり、難削材とされるチタン合金の20~30程度よりもさらに低い数値となっています。

ハステロイⓇとの違い

ハステロイはヘインズ社が開発したニッケル合金です。インコネルにも種類があるように、ハステロイにもC22やC276などいくつかの種類があります。高温耐性に特化したものや、酸性・耐食性に特化したものなど特徴も様々です。