SUS310Sとは?耐熱性のあるオーステナイト系ステンレス鋼SUS310Sの特徴や性質を解説

SUS310Sとは、耐熱性オーステナイト系ステンレスの代表的な材料です。
ニッケルとクロムを多く含み、SUS304よりも耐食性・耐熱性に優れます。

SUS310Sの化学成分

化学成分(%)

SUS310SはSUS304と比較してニッケルの含有量が大幅に高く、クロム量も多いです。
クロムとニッケルが多いということは、それだけ耐食性も高くなります。

SUS310Sの”S”とは?

SUS310Sの”S”の意味は「固溶化熱処理」を行った材料という意味です。
固溶化熱処理とは、一気に高温まであげて急激に冷却させる熱処理で、オーステナイト系のステンレスにはこの固溶化熱処理が施されます。
JIS G 4303:2021に規定されているのは”SUS310S”のみで、”SUS310″という材質は存在しません。

多くのオーステナイト系ステンレスの中で”S”の表記があるのは”SUS310S”と”SUS309S”のみだけですが、なぜこれらだけ敢えてSの表記を付けているのでしょうか。
明確な情報が無かったのであくまで推測ですが、耐熱性を重視した材料なので、固溶加熱処理を保証する表記を義務付けたのではないかと思われます。

SUS310Sの特徴

  • 耐食性に優れる
     クロムとニッケル含有量が多く、SUS304よりもさらに耐食性に優れます。
  • 価格が高い
     合金の共通事項でもありますが、ニッケルを多く含む材質ほど価格が高い傾向があります。SUS304よりも1.5倍~3倍程度の価格になる場合があります。
    ※あくまで数100g~5kg程度の材料の場合の一例です。
  • 耐熱性に優れる
     700~1000℃程度の高温環境下での使用が可能です。ただし、高温化で長時間使用する際には脆性の危険性もあるため注意が必要です。

SUS310Sの用途

耐熱性を必要とする機械部品、治具など

参照

”JIS G 4303:2021 ステンレス鋼棒 ”.日本産業標準調査会.2022-03.https://www.jisc.go.jp/index.html