SK105(SK3)とは?炭素工具鋼であるSK105の性質や特徴、SK5やSKS3との違いを解説

SK105(SK3)は炭素工具鋼です。
「SK3」というのは旧JIS表記で、現在は「SK105」に変更されましたが、まだ多くの図面でSK3の表記が残っています。

SK105(SK3)の化学成分

SK105(SK3)は炭素量が多く強度の高い材料ですが靭性は劣ります。
SK85とSKS3との比較してみましょう。

  • SK85(SK5)との違い
     成分的に異なるのは炭素量のみで、SK85の方が炭素量が少ないです。SK85の方が焼入れ性は若干良好ですが、そこまで大きな違いはありません。他の違いは流通している主な形状です。SK105は主に板材の流通が主で、SK85はゲージ材(薄い板状)の流通が主流となっています。
  • SKS3との違い
     SKS3は名前が似ているものの「合金工具鋼」という種類で、クロムやタングステンが付加されています。熱処理性や耐摩耗性などSKS3の方が良好で、SK105よりも全体的に優れた材料だと言えます。

SKS3についての詳しい説明はこちら→【合金工具鋼】SKS3とは?

SK105の用途

  • ゲージや刃物など
    硬度が高いSK105材はゲージや刃物などのような部品に適しております。
    また、SK85と同じようにプレス加工の金型にも使われることがありますが、加工熱を伴う用途では使用寿命が短くなるため、長寿命の金型を求める場合はSKD11などダイス鋼の方が適していると言えます。

加工方法

  • 切削加工
    生材の状態での切削性は良いので、主に切削による加工がメインになります。ただし熱処理後は硬度が上がるため、切削加工は困難なため研削加工などが必要となります。

処理について

  • 熱処理
     用途の事を考慮すれば加工後に熱処理をすることが一般的だと言えます。熱処理後はHRC61~程度となります。ただし、焼入れで歪が発生しやすい材料でもあります。SK105よりもSK85のほうが焼入れ性に優れていますが、それよりも歪を考慮するのであればSKD11などの材料へ変更を検討した方がいいです。
  • めっき
     ハードクロムめっきや無電解ニッケルめっきなどを施すことによって、耐食性が向上します。防錆を考えるならめっき処理をおすすめします。

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参考資料

“JIS G 4401炭素工具鋼鋼材”.日本産業標準調査会.2022-2.https://www.jisc.go.jp/index.html