S15Cは、鉄鋼材料のひとつで「機械構造用炭素鋼鋼材」と呼ばれる汎用的な鋼材です。
炭素含有量は0.13~0.18%で、低炭素鋼(軟鋼)に属します。
S15Cの特徴
S15Cの長所・メリット
- 五大元素の含有量が決まっている
SS400と違い、成分が規定されているため、材料屋の違いやロットの違いによる品質のバラつきを少なくすることができます。→金属の五大元素とは? - ある程度の強度と粘り強さを確保できる
S15Cは炭素量が少ない=靭性が高いので、強度と靭性をある程度両立させる事が出来ます。
S15Cの短所・デメリット
- SS400よりもマイナー=流通性が悪い
悪く言えばS15Cは少し中途半端な材料です。リン硫黄の成分が規制されているのでSS400よりは若干品質がいいですが、SS400の方が流通性が良いので安価に様々な形状の材料を手に入れる事が出来ます。
S15Cの用途
自動車部品、ワッシャー、各種構造部品などに採用されます。
S15CとS45Cの使い分け
S15CとS45Cの違いは炭素量です。S45Cは全体焼入れ等で硬度を上げる事が出来ますが、S15Cの場合は浸炭焼入れなどを行わなければ硬度が入りません。また、S45CやS50Cの方が材料としては汎用性が高く、機械部品としてはS45Cなどの方が広く採用されております。
表層の硬度を上げつつ内部の靭性を保ちたい場合などに「S15C+浸炭焼入れ」が採用されることがあります。
加工方法
- 切削加工◎
被切削性は比較的良好なので切削加工がしやすい材料といえます。 - 溶接〇
S15Cは炭素量が少ないため、溶接割れなどが起きにくいです。ただし、溶接の品質を上げたい場合はSCMなどの方が適しております。
表面処理、焼入れについて
- めっき
S15Cは防錆力がないため、めっきなどの処理をして腐食を防止したり耐摩耗性を上げて使用する場合が多いです。
安価かつ精度が高いが防錆効果は低めの「黒染」、精度が高く膜厚をコントロールしやすい「無電解ニッケルめっき」、焼入れせずに高い硬度を得られる「ハードクロムめっき」などが挙げられます。 - 焼入れ
S15Cは炭素量が少ないため、通常の全体焼入れなどでは硬度が入りません。そのため、表層に炭素を添加しながら焼入れを行う「浸炭焼入れ」などが適しております。内部の靭性を保ったまま表面の硬度を上げる事が出来ます。
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参照
“JIS G 4051:2016 機械構造用炭素鋼鋼材”.日本産業標準調査会.2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html
材料の基礎について学びたいかたはこちらへ→【材料を学ぶ】1.材料の全体像 材料の種類や特性を解説