【アルミ材料】A5083とは?耐食性と溶接性に富むA5083の特徴や性質、A5052との違いなどを解説

A5083
JIS H 4000をもとに筆者作成

A5083は、アルミ(Al)とマグネシウム(Mg)との合金です。5000番系アルミ合金において最も強度に優れており、耐食性と溶接性も良好です。
ちなみに、A5083Pと記載のあるものはP=プレートを意味します。

引張強さ(N/mm2)耐力(N/mm2)
A5083P-H112275以上120以上
A5052P-H112175以上65以上

A5083の長所・メリット

  • 耐食性が良い
     アルミ合金は表層に酸化皮膜を形成しているため、耐食性に優れています。また後述のアルマイト処理によって耐食性をさらに向上させることが可能です。
  • A5052よりも強度が高い
     A5052よりもSi,Mnを多く含有しており、強度に優れています。
  • 溶接性が良好
     A5083はジェラルミンなどと異なり、溶接性が良好です。

A5083の短所・デメリット

  • 表面が傷つきやすい
     鉄系材料と比べて表面が傷つきやすいため、製品などに採用する場合はアルマイト処理をオススメします。

A5083の用途

船舶・車両用、低温用タンク、圧力容器など

H112やT6といった質別記号、PやTDなどの形状記号について

アルミ材質にはA5052P-H112といったように質別記号や形状記号が付く事があります。
詳しくはこちらのページをご参考ください。
アルミニウム合金の質別記号H112やT6、Oとは?質別の種類と特徴を解説

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加工方法

  • 切削加工
     A5083は熱伝導性もよく被切削性も非常に優れているので、SS400などの鉄よりも切削加工がしやすいです。また、高速切削も可能なため作業時間も短縮できます。
  • 溶接◎
     A5083はA5052よりもさらに溶接性が高いので、溶接に向いています。

表面処理 アルマイトについて

  • アルマイト
     アルマイトとは人工的に酸化被膜を生成する処理で、耐食性や強度をあげるために用いられます。値段も安価で、A5083には多く採用されているのでオススメの処理です。
    また、黒アルマイトやカラーアルマイトによって、色を付けることも可能です。
    詳細はこちら→アルマイトとは
  • めっき
     A5083に施す処理として一般的なのは前述のアルマイトですが、無電解ニッケルメッキなども可能です。均一な膜厚を施しつつ、500HV程度の硬度を得ることができます。
  • ヘリサート
     ヘリサートとは、ステンレスでできたコイル状の部品であり、アルミやMCナイロンなど軟質材のタップ穴に挿入して使用します。A5083の場合メネジの耐久性が弱いため、相手部品が鉄やSUSの場合はネジ山が負けてしまう恐れがあります。そのため、ステンレスでできたヘリサートを使うことによって、ネジ山が潰れることを防ぐことができます。
  • 塗装
     通常の焼き付け塗装は問題なく、密着性もよいです。ただ、アルミの光沢を最大限に活かしたい場合は先述のカラーアルマイト処理をオススメします。

参照

”JIS H4000-2017 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条”.日本産業標準調査会.2022-02.https://www.jisc.go.jp/index.html

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